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「ベスト&ブライテスト」の迷走
「ベスト&ブライテスト」は、ジョン・F・ケネディ政権に集った「最良の、最も聡明な人々」が何故、ヴェトナム戦争の泥沼へと陥ってしまったかを活写した、デイヴィッド・ハルバースタムの代表作です。
事業仕分け、JAL(日本航空)。普天間基地。経済対策、公共事業、労働組合、偽装献金、宮内庁。「政権交代」から100日を迎え、「最良の、最も聡明な人々」が集った筈の鳩山由紀夫政権は、「J・F・Kの呪縛」に囚(とら)われています。
官僚統治を一刀両断した○×式入試問題の如き事業仕分けは早晩、“ブーメラン”として政権を襲ってくるでしょう。ダムを造るか造らないかの二元論ではなく、如何(いか)なる治水を実施するか。この国の在り方が問われているのです。
何故、八ツ場ダムと川辺川ダムの2ダムのみをマニフェストで中止と明示したのか、その根拠も示さぬ儘(まま)、マニフェストに記したから絶対中止、と問答無用な“上から目線”で通達するばかりでは、非論理的・非科学的な市民“絶対反対”運動家と同じです。
不要無用なダム建設ではなく、河床掘削、護岸補強、家屋移転、遊水地、森林整備等を主軸とする新しい治水の在り方を国民に提示し、その理念と方針に基づき、具現化する。それでこそ、成熟した政治指導者です。
12月15日に前原誠司国土交通大臣は、「『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換に対するご協力のお願い」と題する書面を、全国の都道府県知事に送信しました。都道府県が計画する87基の補助ダムを、建設継続か、新基準での再検証の何(いず)れかに区分し、総事業費の7割を国が負担する予算を見直す、との内容です。
が、そこには、「今後の治水対策のあり方」は、来年夏頃に中間取り纏(まと)めを示す予定、と記されているのです。治水の方針も定めぬ儘、○×式の判断のみは先行する。いやはや、「ベスト&ブライテスト」からは程遠き、泥縄式の“お子ちゃま学級会”的迷走ではありませんか。
元祖・脱ダムの田中康夫も驚天動地。ダムありきの石頭な自治体の首長ならずとも、「J・F・Kの呪縛」に陥った「政権交代」はダイジョウビかのぉ、と疑心暗鬼でありましょう。
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決断せぬ政権は国民の反発を食らう
「日航融資7千億円の政府保証 2次補正予算で調整へ」。“迷走”という名の恥の上塗りが報じられたのは、先週末の5日土曜です。
日本航空の為にも、日本国民の為にも、更には日本政府の為にも、可及的速やかに民事再生法か会社更生法の「法的整理」を、と9月段階から申し上げてきました。GM=ゼネラルモーターズも連邦倒産法第11章に基づき、再建型倒産処理手続を選択したればこそ、公的資金投入が国民的合意となったのです。
翻って日本航空は来年1月迄の都合4ヶ月間も、前原誠司「閣下」の“聖断”で、再建策を見出す為の「検査入院」中。その間も下血は止まらないにも拘(かかわ)らず、止血措置も外科手術も行われず、病状は悪化の一途。
奇しくも同日5日夜のBS11「田中康夫のにっぽんサイコー!」で経営コンサルタントの畏友・小宮一慶氏が看破したJALの実情を再録すれば、以下の如き惨状です。
短期に返済すべき負債だけでも4千億円。年末賞与ゼロとて、月々の給与支払い等の運転資金も加えたなら6千億円以上。短期的には年金よりも有利子負債の返済こそ、深刻な問題なのです。而も、負債の方が資産よりも遙かに大きい、債務超過状態の企業です。
JALを新旧会社に分離し、新たな条件で希望者を再雇用し、筋肉質な再生を図った方が、同じく運航乗務員に象徴される高賃金体系の再構築に腐心する全日本空輸ANAにとっても望ましき競争関係が生まれる、抜本的解決法な筈(はず)です。
金融機関からの融資に政府保証を付けた所で問題先送りに過ぎず、最初で最後ならぬ公的資金投入の繰り返しに陥り、“決断せぬ政権”が国民の反発を食らうのは、誰が考えたって必至。
ニャのに何故、経済対策とは程遠き7千億円の政府保証を第2次補正予算に紛れ込ませるのでしょう? ズバリ一言、200億円強の日航株を保有し、800億円近い融資を抱えるみずほコーポレート銀行、融資だけでも2800億円近い日本政策投資銀行を始めとする銀行各行の「損失」回避の公的支援に他なりません。
株式保有も資金融通も自己責任の世界。にも拘らず、鑑識眼を持ち合わせぬ「審査」の尻拭いを政府が請け負うとは、生活者不在。フェアでオープンでシンプルな社会の対極。「政権交代」は、ここでも“進化”が求められています。
本稿の掲載を受け、その翌日、政府保証を断念する動きが生まれています。
9月以降、問題先送りを続けてきた政府の次の一手が「注目」されます。
詳しくは時事通信配信の2記事を。↓
日航への政府保証7000億円を断念=2次補正予算で、資金繰り悪化懸念も
日航、人員削減9000人に上積み=リストラ支援の増額も
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「事業仕分け」という名の東京裁判よ
「地方分権」「財源移譲」に象徴される惹句(じゃつく)を始めとして、大きな声で唱和される「正義」には嘘が有る。と繰り返し申し上げてきました。
全国知事会の事務局は、その大半が総務省からの出向者です。冷静に捉えたなら、彼らが起案する知事会の要求項目は総務省の意向に添った「改革」である筈です。財務省との“代理戦争”を担わせているのです。
而(しか)して、国・都道府県・市区町村の踊り場に位置する都道府県は、国が実施主体の公共事業への直轄負担金こそ前近代的“奴隷制度”だと息巻く一方、都道府県が実施する事業への市区町村の負担金を今猶、公然と請求し続けています。謂(い)わば、中間管理職が部下を睥睨(へいげい)するかの如く。
驚く勿れ、都道府県に於ける「わたり」は全職員の65%にも達します。退職後の天下りを意味する国家公務員とは異なり、地方公務員の場合は一定の在職年数に達すると半ば自動的に、実際の仕事と職責は係長級にも拘らず、課長補佐級の待遇を享受する仕組です。即ち賞与と退職金の支給額にも反映されます。
が、斯くなる「不労所得」撤廃を敢行したのは、僕が知事時代の長野県と、それに触発された鳥取県の2県のみです。“国家公務員には厳しく・地方公務員には優しい”政権与党内にも、是正を求める動きは見えません。
「民主党最大のアキレス腱 労働組合の腐敗」と題する特集を今週発売号で組んだ「週刊ダイヤモンド」の見出しを援用すれば、「不祥事続出でも政治力温存
最強抵抗勢力『自治労』の闇」と闘う“酔狂”な首長など、皆無に近いのです。
毀誉褒貶(きよほうへん)喧(かまびす)しき「事業仕分け」で行政刷新会議は、国土交通省の下水道事業に関し、「自治体に財源を移し、自治体が下水道事業の必要性を判断出来る環境を整えるべき」と判定しました。
が、憂うべき問題の本質は、総人口の18%に上る、山あり谷ありな中山間地を主体とする約750万世帯の汚水処理未整備地区への下水道敷設には47兆円も要するのに対し、環境省が所管する合併処理浄化槽の個別地域設置へと発想転換したなら僅か6兆円。現行の下水道新設予算の3年分で完遂する、という視点が“東京裁判”には欠落していた点です。
真実は細部に宿る。理念無き「税源移譲」は、更に深刻な財政破綻と労働貴族の「痴呆分権」を齎(もたら)す、と敢えて評する所以です。
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前原誠司閣下、ダイジョウビかのぉ
「私が申し上げている破綻とは、潰れて無くなるという意味の破綻。法的整理はしないと言った事は全くありません」。
11月18日、衆議院国土交通委員会で質疑に立った僕に対し、「随分偏った情報で物を仰有(おっしゃ)っている」と前原誠司大臣は“反論”し、直後に日本航空の株価は100円を割り込む事態に陥りました。
彼こそ「随分偏った記憶で物を仰有っている」御仁です。「(JAL再生タスクフォースから)逐一報告を受けている。自主再建は可能であり、10月末を目途に再建計画を策定する方針は変わらない」と述べた9月30日の会見で、「自主再建計画という事は、私的整理、法的整理、産業再生法の活用は無いと言って良いか」との質問に対し、「そうである」と大見得を切っていたのですから。
にも拘(かかわ)らず、委嘱状を手渡した5人のメンバーから1ヶ月後の10月29日に調査報告書を受け取るも、彼は何故か大臣室の金庫の中に仕舞い込み、未だ公表するに至っていません。う〜む、何処(どこ)ぞの独裁国家を連想させる「前原誠司閣下」と冒頭に大書きされていたのが公開を渋った理由かと思いきや、今度は来年1月迄に資産査定を行うべし、と企業再生支援機構に依頼。即ち政権交代から4ヶ月間も漫然と「検査入院」を続ける愚行を決断したのです。
良い意味での法的整理を可及的速やかに断行すべきと僕は主張し、ユナイテッド航空が1994年に導入したESOP(エンプロイー・ストック・オーナーシップ・プラン)にも触れました。従業員が自ら身を切り、彼らが経営陣として再建を図った事例です。
とまれ、一民間企業の日本航空の経営に、何らの法的権限も有さぬ前原大臣が選任した、毀誉褒貶喧(きよほうへんかまびす)しき5人の「専門家」に加えて、彼らの手下が“金魚の糞”の如くに数十名も乗り込んで、巷間の噂では10億円の請求書を突き付けました。それこそは、独占禁止法が謳う「優越的地位の濫用」に他なりません。
が、今や民主党内にも渦巻く諌言・至言・助言にも馬耳東風。「国有化」と殆ど変わらぬ、果てど無き公的保証こそ望ましい、と信じて疑わぬ前原誠司氏は、新自由主義経済から社会主義計画経済へと宗旨替えし、正に「破綻」への道を猛進されているとしか思えません。ダイジョウビかのぉ。
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ぼくこそ真の「保守」なのです
田中康夫を「保守」と捉える向きは、少ないかも知れません。が、民主主義に於ける真の「保守」とは何ぞや?
それは「頑迷固陋(がんめいころう)」とも「既得権益」とも対極に位置する、常に変革し続ける気概と営為である筈です。そうであってこそ、民主主義を衆愚政治にも独裁政治にも陥らせず、「保守」し続けられるのですから。
18世紀のイギリスで秩序、均衡、協調、節度有る競争と支配を唱えた政治家エドマンド・バークの哲学にも通じます。物の本に依れば、社会的な紛争や経済的な競争が放置され、急激に破壊的な対立へと転化する事を憂慮したのが保守主義のバークでした。
即ち、浅薄な保守主義、利権を保守する政事屋に非ず。その対極に位置するノーブレス・オブリージュの政治家です。
民主党も自由民主党も、何れの党内も新自由主義派、既得権益派、共生社会派の3派に大別出来る、と小沢一郎氏の“懐刀”たる平野貞夫氏は指摘します。実は前者に於いては労働組合、後者では業界団体の「族議員」として“同衾(どうきん)”するのが既得権益派だ、と。
他方で、行き過ぎた新自由主義派は、弱肉強食社会を生み出します。然りとて、気概無き凡百の共生社会派も、悪平等社会に堕し勝ちです。求めるべきは、切磋琢磨の共生社会にも拘らず。而(しか)して、それこそが真の「保守」が目指すべき使命なのです。
平野氏は、「鳩山首相の周辺に居る官僚出身の政治家には、国家権力を動かす力量が足りない。役所で係長、課長補佐になった程度でバッジを付け」、「偏差値で育った連中だから、人間の捉え方が歪で、理屈と計画表と数字さえ合えば、世の中が動くと思っている」。「或る意味で彼ら自身が最も官僚的なのだ」と「月刊日本」11月号で看破した上で、「鳩山政権の亀井静香氏と藤井裕久氏は対照的。藤井氏は官僚の立場に立っていると言わざるを得ないが、亀井氏は、やり方は結構乱暴だが、官僚主導を止めるべく、内閣のスタッフとは別の発想で動こうとしている」と評価します。
正(まさ)しく、真の保守が目指すべき、「切磋琢磨の共生社会」。この理念と気概を共有する1点に於いて、表層的には「保守」とは掛け離れた存在と看做(みな)され勝ちな田中康夫にとって、小沢一郎氏も亀井静香氏も、得難き“畏兄(いけい)”と呼び得るのでありましょう。
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447事業「仕分け」に公務員は高笑い
組織を如何(いか)に機能させ、成果を得るか。予算と人事は、マネジメントの要諦です。にも拘(かかわ)らず、政治や行政の世界では、予算も人事も公務員が牛耳ってきました。
そんな筈(はず)はない。政治家は自身の選挙区へと、ハコモノ公共事業に象徴される利益誘導を毎年、行ってきたではないか。だから、税金の無駄遣いが改まらないのだ。
と口角泡を飛ばして反論される向きも居られましょう。成る程、中央ならば大臣折衝、地方ならば知事査定の段階で、特定の個別事業が“降臨”します。が、その程度の金額の変動など、予算編成担当者にとっては、予め心積もりしていた「糊代(のりしろ)」の範囲なのです。
極論すれば、無駄な予算など存在しません。穴を掘って埋めるだけでも立派な雇用を生み出す、と看破したジョン・メイナード・ケインズの至言を持ち出す迄もなく。
「無駄」を省く上で肝要な作業とは、公開の場で担当者を糾弾し、各事業の諾否を○×式に決定する“人民裁判”ではない筈です。
全国で唯一、在任期間6年連続でプライマリーバランスを黒字化した経験に基づき諌言すれば、各事業の「積み上げ書」を1枚づつ丹念に捲(めぐ)りながら、各部局の事業担当者と膝詰めの議論を行う気概と誠意こそが、真の「無駄」を省く道なのです。
必要性を認められた事業であろうと、調査費や委託費、会議費を始めとした積み上げ書に記された付随予算の中には、ウイルスの如く“冗費”が巧みに密かに忍び込まされているからです。
他方、必要性が認められなかった事業とて、代替事業を編み出すべきか否かの論議が同時に行われねば、国民の生命と財産が脅かされる事態に陥り兼ねません。
このダム建設は不要と中止決定したとして、では、その建設の為の調査費用よりも遙かに安価で取り組み可能な護岸補強や森林整備、河床整理と呼ばれる浚渫( )が、今まで実施されなかったのは何故なのか。
毛細血管の如く張り巡らされた「款・項・目・節」と呼ばれる形骸化した行政予算の組み替えこそは、指導者の責務です。が、その為には、如何なる日本社会を創出するかの哲学と信念が不可欠。
僅か447事業を「事業仕分け」と称してモグラ叩きの如く人民裁判しても、“ロッシャンルーレット”に該当しなかった他部署の公務員は高笑いするのみです。「市民運動家」の心智を超えた政治の成熟こそ、急務です。
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二風谷ダムは脱ダムを超えた「廃ダム」の象徴
驚く勿(なか)れ、推定堆砂量100年分の2倍、即ち200年分の堆砂が僅か10年間でダム湖に堆積。
アイヌ民族の反対を押し切って、北海道沙流(さる)郡平取町の沙流川に建設された二風谷ダムは、「世界一危険なダム」です。
元より沙流(さる)とはアイヌ語で葦原(あしはら)。即ち沙流川とは、大雨が降り水嵩(みずかさ)が増す度に、河口が土砂で塞がる河川を意味します。
河川工学の碩学(せきがく)として京都大学で、旧建設省・現国土交通省の歴代河川局長を輩出するも、治水の為でなく利権の為へと“換骨脱胎”されたダム行政に疑問を抱き、「脱ダム」学者へと転向した畏兄・今本博健名誉教授と共に僕は、10月末に現地を訪れました。
1997年の完成時に今後100年間で550万立法メートルと想定していた堆砂量は、10年後の2007年には1268万立方メートルを“達成”。同等の速度で堆砂が進んだなら、15年を経ずして総貯水容量3150万立方メートルのダム湖は堤頂まで堆砂で覆い尽くされ、激流・濁流・奔流が下流域の居住地を襲う事態に陥ります。
河床整理と呼ばれるダム湖の浚渫(しゅんせつ)こそ、急務です。にも拘(かかわ)らず、今後は沙流川も安定期に入り、堆砂量は減少するから現時点での浚渫は不要、なる旨の「明後日」な回答を国土交通省は述べる始末です。
従前から述べるが如くダム建設に於いては、国の直轄事業も自治体の補助事業も、総事業費の7割が国庫負担です。即ち地元負担は3割。地域に美味(おい)しい公共事業と喧伝されてきた所以(ゆえん)です。
然れど実態は、総事業費の8割が東京や大阪に本社が位置するゼネラルコントラクター=ゼネコンに還流しているのです。詰まりは3割負担の地元は租庸調の時代と同じく“持ち出し”。クレーン車が林立する巨大公共事業は、地域経済を疲弊させてきたのです。
であればこそ、地域密着型公共事業としての浚渫こそは、構造転換も儘(まま)ならず、青息吐息な地元の土木建設業に福音を齎(もたら)します。更には完成後の1997年に「土地収用法の裁量権を逸脱している」と違憲判決が確定した二風谷(にぶたに)ダムは、脱ダムをも超えた「廃ダム」という新しい公共事業の象徴ともなり得る存在です。
奇しくも二風谷ダムは、鳩山由紀夫宰相の選挙区。が、“総論黙認・各論抵抗”の北海道民主党は、当別ダムを始めとする数多(あまた)の道営ダム建設促進を広言し、二風谷ダムの惨状には黙して語らず。「コンクリートから人へ」と公言する宰相の決断力が問われています。
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国民は疑心暗鬼に陥っている
同じ楽曲を同じ会場で同じ楽団が演奏しても、指揮者が違えば音色は異なります。自身は楽器を弄(いじ)らないにも拘(かかわ)らず。故に指揮者の、楽曲に対する認識と楽団員に対する指導が重要なのです。
量の拡大から質の充実へ。内閣総理大臣所信表明演説が示す、“脱物質主義”の理念は素直に評価すべきです。その上で正に、「理念の先」が問われているのです。
年明けの通常国会に提出する当初予算と補正予算の策定に集中するべく、臨時国会は可及的速やかに切り上げる。その方針も二百歩譲って認めるとして、3兆円分の予算組み替えを今国会で具体的に視覚的に提示すべきでした。少なくとも「生活が第一」ならば。
即ち、国民は“疑心暗鬼”に陥っているのです。無駄遣いの根絶を掲げるけれど、これは要らない、あれも削れ、と純粋真っ直ぐ君な市民運動家の域を脱していないのではないか、と。
14.7兆円に上る、言わずと知れた前政権下で成立した補正予算の削減分3兆円を、次年度開始予定の「こども手当」の原資へと充当するのも結構だけど、“景気の二番底”に対処する3兆円として転用するのも大いにアリではないか、と。
例えば、隧道と橋梁の緊急点検を全国津々浦々で年末迄に実施し、耐震性・耐久性が劣る箇所は前倒しで年度内に工事を開始する。地域密着型の公共事業として、安心・安全・活力を齎(もたら)します。景気とは優れて、気分という空気なのです。
県道も村道も、建設時には事業費の6割以上を国庫負担する一方で、維持修繕は地元負担。だから、財政難を理由に点検が滞り勝ちなのです。“造るから治すへ”。政権交代の意義を象徴する、誰もが拍手する景気対策としての公共事業です。
或(ある)いは、都道府県・市区町村の負担分も国庫で補填し、地域密着型の雇用を生み出す訪問介護の充実へと振り向けるのも一案です。「コンクリートから人へ」と情念的・情緒的な御題目を復唱するだけでは、国民は疑心暗鬼に陥ります。
指揮者が楽団員に駄目出しを繰り返さねば、聴衆に感銘を与える演奏は実現しません。而(しか)して、その駄目出しが単なる理念の説教に留まらぬ、具体性と説得力を持ち合わせねば、個々人は優秀な楽団員たる官僚集団は、前例踏襲という名の頭脳・心身に染み付いた面従腹背の演奏方法を改める筈(はず)もないのです。
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JAL「再生」は「転売」の誤植ではないか
声高に「正義」を語る人間には、何処(どこ)かに嘘が隠されています。
巧言令色鮮(すくな)し仁。「国民社会主義ドイツ労働者党」の御旗の下に、人種憎悪と民主主義蔑視の“狂喜国家”を実現したアドルフ・ヒトラーを例に挙げる迄(まで)もなく。
経営共創基盤CEOから「JAL再生タスクフォース」メンバーへ“転身”し、「どうやってアジアの成長を取り込み、国富を築き、国益を維持し、航空産業を位置付けるか、これは日本と日本人の将来に関わる課題です」と「朝日新聞」紙上で“大言壮語”する冨山和彦なる旧産業再生機構COOの行状も、斯(か)くなる系譜に連なるのでは。
「東証1部上場の不動産投資ファンド運営大手、パシフィックホールディングス(PHD)のコンサルを務めていた冨山は、身元不明の中国人、関継軍に最高顧問の名刺を持たせ、そのツテで中国マネー導入でPHDが470億円増資すると発表したが、結局、振り込まれたのは6億5千万円。3月10日、PHDは負債総額3265億円で会社更生法適用を申請」。「怪中国人のM資金話に引っ掛かった冨山が何故(なぜ)」と会員制情報誌「ザ・ファクタ」は慨嘆します。
国土交通大臣自ら設置した「JAL再生タスクフォース」の「再生」は若(も)しや、「解体」「転売」の誤植ではないか、と真っ当な感覚を持ち合わせた霞ヶ関や大手町の住民が危惧する所以(ゆえん)です。
果たせる哉(かな)、日本航空が破綻して法的整理に持ち込まれたら、つなぎ融資をしなかった銀行こそシャイロックだ、と“ミスリード”報道されるのを恐れて応ずる筈(はず)だ、と足元を見透かし、財務健全化と経営再構築の工程表も示さぬ儘、総融資額の半分に上る2500億円の債務免除を主力4行に求め、返す刀で、今期中に6500億円を注ぎ込まねば延命すら難しい日本航空に対する果てしなき公的資金注入の泥沼へと政府を誘い込むべく蠢(しゅん)動中なのです。
とまれ、国土交通大臣の私的機関にして些かの法的権限も有さぬ「チーム冨山」が、会見すら開かず、一部メディアにリークする形で跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し得るのは何故か?
政権交代で高枕も儘ならぬトリオ・ザ“小泉純一郎・竹中平蔵・宮内義彦”パンチが、些か政局観に乏しい舎弟・前原誠司大臣に謹呈した、若しや“時限爆弾”ではありますまいか。「謀略史観」と笑い飛ばす勿(なか)れ。政治とは、死ぬか生きるかの権力闘争なのです。
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”ベスト&ブライテスト”の泥沼にはまるぞ
「『極東=Far East』の認識を改め」、「東西南北にアメリカ、中国・アジア、オセアニア、ロシアが位置する日本の“交差点外交”を確立」せよ、と一ヶ月前の拙稿で指摘しました。
が、岡田克也外務大臣は「米国からの自立=米国の排除」と古色蒼然たる二元論に留まっているのか、「『東アジア共同体』構想にアメリカを加えず」と日本外国特派員協会での講演で言明する始末。いやはや、東アジア共同体=太平洋コミュニティなのにね。
他方で、「自律的日本外交」確立への“意気込み”なのか、アフガニスタンの首都カブールを“電撃”訪問。ハーミド・カルザイ大統領と会談し、元タリバーン兵士に対する職業訓練への支援実施を表明しました。う〜む、甘過ぎはしますまいか。
ジャーナリストの田中龍作氏に拠(よ)れば、「実弟はアフガンを暗黒大陸たらしめている麻薬の密売王」で、「米石油メジャー『ユノカル社』取締役だったカルザイ大統領は、ブッシュ前政権が米国の代理人としてインストールした人物に過ぎ」ず、であればこそ、「50m毎に治安要員が立つ沿道を防弾車で移動」せざるを得ない、と「中日新聞」も報ずるが如く、政府が政府として機能していない状況が首都カブールでは続いているのです。
バラク・オバマ政権にとっても、腐敗し切ったカルザイ政権は“獅子身中の虫”。他に「適役」が見当たらないから、大統領に留め置いているに過ぎません。とするならば猶(なお)の事、先(ま)ずはカルザイ政権の後見人たるアメリカ側と、“海上ガソリンスタンド”に代わるアフガニスタン&パキスタンへの具体的貢献策を詰め、アメリカのエンドース=裏書きを得た上で、今回の「自律的日本外交」を実践するべきでした。
思い起こせば、アフガニスタンに介入したが故に、ソビエト社会主義共和国連邦は崩壊しました。現在も猶、米国を筆頭に42カ国の6万8千人に上る軍事力を投入しても制御し切れぬ伏魔殿がアフガニスタンなのです。
農業復興こそアフガン復興、との信念と行動力で現地住民から絶大な信頼を勝ち取った、中村哲医師が代表を務める「ペシャワール会」の長年に亘(わた)る地道な活動に学ばずして、更にはアメリカの
エンドースも得ずして“電撃訪問”を敢行した所で、“ベスト&ブライテスト”な泥沼に日本は嵌(はま)り込み兼ねませんぞ。
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ダム計画モグラ叩きに老婆心
「発想を変え、選択を変え、仕組みを変えるべき時がやってきました。日本が世界に向けて開国した明治維新から一四〇年有余、旧態依然な公共事業の現状に象徴される官僚統治・中央集権の既得権益社会を抜本的に改めるべく、今こそ日本の『改国』を」。
マニフェスト「日本『改国』宣言」で記した「改国」の深意です。即ち、疾(と)うの昔に制度疲労を来した「仕組み」を抜本的に改めぬ限り、その仕組みを設計・管理してきた官僚統治=「官治」は今後も安泰で、「生活が第一」な社会など到来する能(あた)わず、なのです。
多くの国民が内閣発足直後に躍動感を抱いたのは、惰性の如く存続し続けてきた幾つもの事業や施策を、一刀両断に中止する、と複数の閣僚が声高らかに宣言したからでしょう。が、好事魔多し。これを止めます、と述べるだけでは「市民運動家」の域を出ません。制度を改めた上で進めねば、巧妙に落とし穴を仕掛ける面従腹背・金城鉄壁なる公務員組織に足を掬(すく)われ、八ツ場、川辺川と個別2ダム計画のモグラ叩きすら果たせず終わってしまう可能性大です。
知事時代の経験に照らせば、諏訪湖に流れ込む下諏訪、蓼科の2ダム建設計画を棚上げした上で長野県が策定した諏訪地区の河川整備計画を、国土交通省が認めざるを得なくなったのは、河川改修、森林整備等の多岐に亘(わた)る具体的な治水計画を提示したからです。
とするなら、国交省の直轄ダム、都道府県の補助ダム合わせて143基にも上る日本全国のダム建設計画を、如何(いか)なる新たな治水・利水の指針の下に抜本的見直しを図るのか。「改国」の説明責任が問われます。
が、川辺川ダムには反対する一方で蒲島郁夫熊本県知事が、新党さきがけ→自民党の園田博之氏の地元・天草を慮って建設を公言する県営路木ダムに関する質問を受け、前原誠司国土交通大臣は昨日6日の会見で以下の如く断言しました。
「(国が補助金を出す都道府県のダム計画に)特段、私から異論を申し上げる事は無い」、「(ダム建設の入札手続を)止めて呉れという様な事を私共から申し上げる心算(つもり)は御座いません」と。
更に、10月末の長野市長選で民主党が擁立する元県職員の候補者も、中止した浅川ダム計画復活建設派たればこそ、「総力を挙げて党主導で戦う」と述べる始末です。「総論大言壮語・各論済(な)し崩し」。国家公務員には厳しく、地方公務員には優しい“二本嘴(にほんばし)”作戦の成否や如何に、と老婆心を抱きます。
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大丈夫か、JALの"ぺんぺん草"再生
20世紀後半、相次いで独立した旧植民地の諸国が競い合ったのは、自国語を用いた映画制作と、自国旗を掲げる航空会社の実現でした。何(いず)れも国威発揚の“高揚感”を国民の間に齎(もたら)します。
斯(か)くなる“高揚感”は、自主自律から程遠き社史を歩む呪縛を背負い続けた日本航空の「悲劇」と表裏一体ではなかろうか、と僕には思えます。
永田町も霞ヶ関も大手町も、更には利用者としての国民までもが、“ナショナルフラッグキャリア”に対する過度の「期待」を求め続け、当事者の日本航空も健気(けなげ)に、その「期待」に応え続けようとしたのです。
退職金や年金の積立不足に留まらず、「利益と資本の水増しに他ならぬ」とジャーナリストの畏友(いゆう)・町田徹氏が看破した「機材関連報奨額」に象徴される“粉飾紛いの厚化粧決算”を続けてきた日本航空に対し、財務省所管の特殊会社たる日本政策投資銀行(政投銀)が今春、1000億円もの緊急「追い貸し」融資を実施したのは何故か?
誰もが容易に想像し得る「理由」は、日本航空の危機を“奇禍”として活用し、政投銀の民営化先送りを確固たる既成事実としたい向きの存在です。所管庁の財務省のみならず、検査権限を有する金融庁にとっても、“特殊会社”であってこそ美味しいのです。好都合にも野党時代、政投銀の「完全民営化」に民主党は反対しています。
デルタ航空の資本参加で危機を乗り切る、と“明後日な見解”を発して失笑を買った国土交通省も、ルノーの出資で再建に取り組んだ日産自動車とは異なり、外国資本の出資を3分の1未満に規制する現行航空法を“盾”に霞ヶ関が主導権を握り続けられる、と踏んでの問題先送り発想です。
日本航空を“生かさず殺さず”。斯くも無責任なハゲタカ発想を同様に抱くのが、毀誉褒貶(きよほうへん)喧(かまびす)しき冨山和彦氏なる「企業再生の専門家」です。ダイエー、カネボウを「再生」とは対極に位置する「崩壊」に至らしめた産業再生機構の“立役者”(苦笑)を、が、あろう事か、前原誠司氏は「旧知の間柄」と賞賛し、「JAL再生タスクフォース」に迎え入れました。
いやはや、“平成の政商”と評すべき宮内義彦氏とタッグを組んだ竹中平蔵氏が生み出した、数々の“ぺんぺん草”再生の轍を踏み出してはいますまいか? う〜む。
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「極東=Far East」の認識を改めよ
「対等な関係」とは、果たして存在し得るでしょうか? 夫婦や親子であっても、それは至難の業です。況(いわ)んや、アメリカ合衆国を相手に「日米は対等な関係」と公言した所で、それは高言若(も)しくは広言の誤植では、と嘲弄されるだけです。
逆に寧(むし)ろ、片務的な日米安全保障条約を即時改定し、日本もアメリカを護(まも)る、と明記する覚悟をお持ち合わせですか、と茶々を入れられるのが精々でしょう。
長きに亘(わた)って多大なる貢献を、金銭的のみならず人員的にも実施し続けているにも拘(かかわ)らず、洞察力と説得力に富む言葉を些(いささ)かも持ち合わせぬ歴代日本外交の貧弱さが事由で、「対等な関係」を構築し得なかった国家が日本なのです。
その日本が突如、「世界はアメリカ一極支配の時代から多極化の時代に向かう」。「国家目標は『東アジア共同体』の創造」と言明したなら、知日派・親日派を自任するアメリカの面々とて、少なからず当惑・困惑するでありましょう。
「日本『改国』宣言」で僕は、「東西南北にアメリカ、中国・アジア、オセアニア、ロシアが位置する日本の“交差点外交”を確立します」と明記しました。
「極東=Far East」の認識を、日本は改めるべきです。極東の小島たる日本こそは、「経済、ヒト、モノ、マネー、文化等の多分野で、中継拠点としての日本の持続的成熟を戦略的に構築」し得る優位性=アドヴァンテージを地政学的に確保しているのだ、との逆転の発想が不可欠です。
その認識に立たねば、「アジア共通通貨の実現」を日本が謳(うた)った所で、欧米のみならず中国やロシア、更には東アジア諸国からも、警戒されるだけです。
「ドル、ユーロに続く“第三の通貨”誕生に向けて、目覚ましい発展を遂げ続ける『BRIC’s』4カ国との具体的協議を開始」した方が、遙かに日本の存在は高まります。斯(か)くなる戦略性の下に、アメリカとの関係を緊密に再構築し得るや否や。
が、その前に国民は、外交よりも内政、即ち「既得権益に群がる政治家・官僚・業界・団体(政官業団)の『前例踏襲主義』を抜本的に「改国」する政治の胆力を懇望しているのです。「改国」アジェンダの優先順位を間違えたなら、しっぺ返しを喰らいます。
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権限と決断を霞ヶ関から永田町へと奪取せよ
自公連立政権に期待し、支持し続けた善男善女が渇望していたのは、「福祉の充実」であった筈です。然(さ)れど、この10年間、福祉は切り捨てられてきました。
より精確に述べれば、ハコモノ公共投資としての福祉行政は全国津々浦々で展開されたものの、“人が人のお世話をして初めて成り立つ”21世紀型の「労働集約的産業」としての福祉・医療・介護・教育の人的充実は、置き去りでした。
「厚労族」を自任していた小泉純一郎は何故、福祉の切り捨てを行い得たのでしょう? それは、福祉に留まらず、医療も介護も教育も、国民一人ひとりの個人に提供される領域だからです。
縦(よ)しんば、サーヴィス低下に憤りを感じても、示威運動を展開するには至らぬ“去勢”された無党派層に高(たか)を括(くく)り、他方で公共事業の入札制度や外郭団体の補助金にメスを入れる気概を持ち合わせませんでした。それらは、背後に控える業界や団体の既得権益を脅かす行為だからです。
大きな組織の都合ではなく、小さくとも確かな人間の希望に根差した政治の実現。言うは易し・行うは難しな「改国」を敢行するには、人事・予算・方針の権限と決断を、霞ヶ関から永田町へと奪取せねばなりません。それらは何れも、企業活動に於いては、孤独を乗り越え、信念を抱いてトップマネジメントが指針を示し、断行せねば、変革は為し得ません。
にも拘らず、失業保険なる保障が存在せぬ、即ち解雇や倒産とは無縁の公務員制度の中で生きる人々は、前例踏襲の則(のり)を逸脱しない事こそが、望ましき人生と信じて疑わないのです。
脱ダムは脱ムダ宣言。が、群馬県の山中の八ツ場ダム計画を中止したなら、下流域の水甕(みずがめ)は払底する、と早くも埼玉県知事が牽制し、代替案無き夢想だと記者クラブの面々も煽(あお)る展開です。
ダム建設ありきへと導く「貯留関数」に象徴される旧来的学術理論を撃破し、更には洞察力に富む建築家を筆頭に建設予定地の、新しい公共事業としての地域再生を具体的に提示する智力と胆力を併せ持つリーダーシップの下に断行せねば、「1940年体制」としての官僚統治の溶解など到底、能(あた)わずなのです。
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「日本『改国』宣言」を実行に移す時
8月29日の夜半、サングラスを掛けた女性が車椅子を押して、通り過ぎました。知的発達障害児と思(おぼ)しき少女が座っています。
尼崎市神田中通4丁目163番地。阪神電車尼崎駅から程近い商店街、尼崎中央4番街の一廓に構えた選挙事務所前で最後の街頭演説を行っていた僕の眼前を、左から右へと通り過ぎると再び、戻ろうとしています。
然(さ)れど、少女は憤(むずか)っている様子です。猶(なお)も女性は続行しようとし、抵抗する少女の声が、演説を続ける僕にも聞こえてきました。目の不自由な方が、であればこそ、人一倍、敏感なのと同様、少女も又、何処(どこ)か不自然な気配を察知していたのでしょう。何故、TVカメラの放列の前を2回も通らねばならぬのだ、と。
思い起こせば、同じく事務所前で8月18日、公示の第一声を行った際も何故か、幾台もの車椅子が僕の目の前を行き交いました。取材陣と接触し、転倒する事態に陥ったなら一大事です。
必死の思いで警備員の役目を果たしたスタッフの1人が、事無きを得て安堵しながら、少し離れた駐車場脇を通り掛かると、もぉ帰って構わん、と車椅子の集団に向かって言葉を発している“手配師”と思しき人物に遭遇しました。
福祉の充実を願う善男善女が取り分け、支持していたのであろう自公連立政権は、豈図(あにはか)らんや、10年間で着実に確実に、福祉の切り捨てを断行しました。教育も混迷し、医療は崩壊し、雇用も低迷しています。
「長野で要らん奴は、尼(あま)(尼崎)にも要らん」。一連の報道でお馴染みとなった惹句(じゃっく)を吐き捨て続けた善男善女は、失われた10年間ならぬ、裏切られた10年間だったと自覚するには、未(いま)だ至らぬのでしょうか?
人情味と正義感に溢れ、長い物には巻かれない勇気を抱く尼崎の人々が、にも拘(かかわ)らず、政治に関しては周囲の目を気にし、声を潜めて語らねばならなかった不可解な閉塞感を、明日は一緒に打ち破る日です、と僕は演説の最後で述べました。
その呼び掛けに呼応して下さった尼崎市民と共に、官僚統治・中央集権の既得権益を護る制度を改める「日本『改国』宣言」を実行に移す、新たな闘いが始まります。
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フェア・オープン・シンプルな社会を
「発想を変え、仕組みを変えよう。」と副題を冠した「日本『改国』宣言」は、「フェア・オープン・シンプル=公正・透明・簡素」な、エッジの効いた幾つもの施策を提言しています。
「年末、年度末に集中する道路工事は、単年度予算の弊害。複数年度予算に変更し、シームレス=継ぎ目の無い事業実施を図る」。民間企業ならば当たり前の発想です。
「不公正な益税を排除すべく、他国同様にインボイス方式を『消費税』に導入する。その上で、イギリス同様に食料品及び医薬品に対する消費税を廃止する」。何故か他党は黙して語らぬ益税は、フェアの対極です。
「公的資金注入を厳格化し、金融機関へ注入する場合は、執行役員以上の全経営陣の退陣を条件とする。製造業を始めとする一般企業への公的資金注入は、政府系金融機関経由も含め、社会的公正と経済的自由の観点から疑念が生じる為、原則禁止する」。
公的資金注入後も程なく、返済が容易な金融機関に対しては厳格な責任を明確化する一方、エルピーダメモリに象徴される、本来は市場原理で一旦退場・再度復帰を図るべき製造業への公的資金投入は、恣意的判断に基づいてはなりません。
経営者責任を問われぬ儘(まま)、金融機関や大手製造業が救済されるのならば猶(なお)の事、「匠(たくみ)」の精神に満ち溢れたモノ作り産業の復権を図る上でも、「中小事業者の自殺を防ぐべく、連帯保証人制度を撤廃する」決断が急務です。
「生涯教育こそ活力の源泉、との視点に立ち、生涯学習に個人が投じた費用を税額控除対象とする」。「して良い事と悪い事の道理を体得させる『躾(しつけ)の時間』を、三歳児までの幼児に義務化する」。「生まれ育った地域の歴史と日本の伝統文化・芸術を学ぶ時間を、中学校・高等学校に新設する」。
“フェア・オープン・シンプル”な日本社会を成熟させる上で不可欠な施策は、更に続きます。
「ドル、ユーロに続く“第三の通貨”誕生に向けて、BRICs4カ国との具体的協議を開始する」。「アルファベットに倣い、日本主導で統一漢字体を確立し、ゆるやかなアジアの連帯を文字から始める」「アメリカ、中国・アジア、オセアニア、ロシアとの“交差点外交”を展開し、経済、ヒト、モノ、マネー、文化等の多分野で、中継拠点としての日本の持続的成熟を戦略的に構築する」。
脱しがらみ、脱既得権益の「改国」に向けた新党日本マニフェスト全文はホームページで閲覧可能です。
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「ALWAYS 三丁目の夕日」を
「発想を変え、仕組みを変えよう。」と副題を冠した「日本『改国』宣言」最終版を、新党日本は今週7日(金)に発表します。
既に暫定版を先月31日にHP上で公開し、「信じられる日本へ。」と願う方々の様々な意見や指摘を最終版に反映させるべく本日5日(水)迄、メールで受付中です。
重点施策6項目の第1番目には、「既得権益に群がる政治家・官僚・業界・団体(政官業団)の『前例踏襲主義』を溶かし、『しがらみの大掃除』を断行します。」と明記しました。
「すべての事業をゼロベースで見直し、既得権益にしがみつく企業・団体・組合と行政との癒着を根絶する」為に、「官僚任せだった予算の積み上げ書を精査し、前例踏襲的な事業を徹底排除」。「国と地方の公益法人や独立行政法人等の外郭団体の抜本的廃止と補助金撤廃を実施」。「会計検査院の上部組織に、国民から選ばれた検察審査会的な委員会を、各分野で設置」。
「都市基盤整備に象徴される国家的大計で取り組むべき事業は敢えて政府に戻し、外郭団体であるが故に天下り官僚が高給を食む不透明な構造を改める」。
明治維新の「開国」に続く、官僚統治を「改国」する今回の選挙は、耐用年数を疾(と)うに過ぎた制度を根底から改める第一歩です。参議院の構成を、全国比例区選出議員と47都道府県知事に変更すべし、との提案も、中央VS
地方の不毛な二項対立を解消する為です。国家と地域が一体で社会変革を進める欧州では、大統領就任前のジャック・シラク氏がパリ市長と国会議員を兼務した様に、当たり前の話なのです。
更には、「匠(たくみ)」の精神に満ち溢れたモノ作り産業と、地域に根差し、向上心に溢れる中流家庭を復権させ、日本の文化と伝統、風土に根差した経世済民を実現する為の、数々の具体的施策も示しています。
とまれ、“なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ改革”の残滓(ざんし)と呼ぶべき、信じられない社会の極致に陥った日本の政治を改め、パステルカラーに彩られた一億総中流社会を実感し得る、信じられる日本を再生すべく、「ALWAYS三丁目の夕日」関西版とも評すべき人情味と正義感に満ち溢れた尼崎の地で奮闘しながら、深夜・早朝に最終版の推敲(すいこう)を行う日々です。
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「アマに何しに来た」の罵声もどこ吹く風
「田中康夫さん、僕達、大ファンなんです」と青年2人が言葉を発しました。阪急電鉄塚口駅前の書店で開催された勝谷誠彦氏との合同サイン会場での出来事です。
地元・尼崎市出身の畏友(いゆう)が上梓した新著「代案を出せ!」は、「勝谷まさひこ」のタスキも掛けて、白手袋でマイクを握る写真が表紙。「文句だけ言ってんじゃねぇ!」と副題も冠され、本の腰巻きには「ついに出馬!?マニフェストを発表!日本を変える解決策を読者と一緒に考えた!」と大書きの凝った演出。
その彼から誘われて急遽(きゅうきょ)、僕の「脱・談合知事」も版元から取り寄せて、合同サイン会と相成った次第。「有り難う」とサインすると、青年は次の科白(せりふ)を継ぎました。
「田中さん、知事時代に退職金を2回も、仰山(ぎょうさん)貰(もら)ったんでしょ。どうしてですか?」と。就任後2年目に不信任決議が可決して失職した際。その4年後に「ダム建設」を掲げる候補に敗退した際。都合2回です。
「退職金を減額する条例を出したんだ。だけど、そんなのパフォーマンスだと、自民党や公明党の県会議員が反発して、否決されちゃったんだよ」。答えると、2人は一瞬、黙り込み、「長野県の友達に電話で聞いてきます」と立ち去りました。
森永卓郎氏を委員長に発足した、公職者の待遇を再検討する委員会から、知事退職金と議員諸手当の減額を答申され、条例案を提出するも、その何(いず)れをも県議会は否決したのです。
「アマに何しに来たんやっ!」「康夫氏に罵声」「アウェーの洗礼」とサンケイスポーツ紙が報じた、尼崎市北西端に位置する市営西昆陽(にしこや)宮ノ北団地での遊説時にも、奇(く)しくも同様の質問を受けたのを想い出しました。
独居高齢者が数多く暮らすと聞いていた件(くだん)の団地で待ち構えていたのは、豈(あに)図らんや、働き盛りの年齢と思しき善男善女でした。更には、路地から路地へと遊説を続ける街宣車の後ろを、フィルムを貼った複数車が有り難くも“私設警護隊”で追尾して下さる展開に。
「よくぞ来てくれましたぁ」と信号待ちの交差点で幾度も握手を求められ、新党日本のパンフレットを手渡すと、その都度、大音量でクラクションを鳴らし続ける後続「警護」車両の“歓待”とも相俟(あいま)って、ニャンとも刺激的な“尼崎ドリーム”実現に向けての序盤戦です。
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尼崎から「改国」宣言
「アメリカン・ドリーム」を夢見た人々と同じく、「アマガサキ・ドリーム」の期待を抱いて移り住んだ市井(しせい)の人々が、尼崎市民には数多いのです。“やっちゃ場”の活気と活力に満ち溢れる街、と形容し得る所以(ゆえん)です。
思えば、阪神間と呼ばれる地域は、一ノ谷の源平合戦以降、絶えて歴史の教科書に登場しませんでした。再び、“時代の舞台”となるのは、明治維新以降です。殖産興業の掛け声と共に、神戸には巨大な造船所や製鉄所が誕生しました。
他方、同じく阪神間なれど、市外局番も兵庫県内で唯一「06」の、大阪と接する尼崎では、紡績工場を始めとする町工場が営まれ、九州や四国、更には奄美大島、沖縄の島々から移り住んだ人々が、モノ作り産業の現場で勤務します。
富国強兵の宿命を課せられたのが神戸であるとすれば、経世済民の希望を求めたのが尼崎。それは、映画「ALWAYS三丁目の夕日」の原作者・西岸良平氏が描く世界そのものなのです。
利用者=消費者不在な経営効率至上主義の暴走を続けた挙げ句に数多くの犠牲者を生んだJR西日本の列車事故発生直後、迅速且つ適切な齊藤十内社長の決断と指示の下、日本スピンドル製造株式会社の従業員が、隣接する尼崎市公設卸売市場の面々と共に救出活動に駆け付けたのは、偶(たま)さかの行動ではない、と僕には思えます。
「世を経(おさ)め民を済(すく)う」経世済民こそは、人が人のお世話をして初めて成り立つ福祉・医療・介護・教育・環境の現場に傾注投資し、地域の活力と雇用を生み出す政治の立脚点たるべきです。而して、拙(つたな)き文章と発言を続けていた口舌(こうぜつ)の徒(と)・田中康夫に、信念と行動力の有言実行者たれ、と目を見開かせてくれたのが、大震災後の阪神間でした。
日本の開国であった明治維新から140年有余、旧態依然な公共事業の現状に象徴される官僚統治・中央集権の既得権益社会を抜本的に改めるべく、尼崎の地で働き・学び・暮らす人々と共に「日本の改国」を。それは、善男善女の代弁者たる政治家が、官僚機構の下手人たる政事屋へと朽ち果てている惨状を、尼崎の地から「改国」する闘いでもあるのです。
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泥舟・麻生丸のミーイズム解散よ
畏(かしこ)くも御名御璽(ぎょめいぎょじ)を頂戴し、第92代目の内閣総理大臣に就任した宰相・麻生太郎は、皮肉にも最後の最後に「決断力」を発揮したのです。
党内で噴出寸前だった「麻生降ろし」を未然に防ぐと共に、自由民主党・公明党内の“投票日先延ばし”論者の意向にも応え、更には民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党の内閣不信任決議案、並びに4党+新党日本の5党が共同提出の首相問責決議案を、気の抜けた炭酸水へと気化させたのですから。
悪評紛々だった“バラマキ補正予算3弾ロケット”よりも少なからず、評価に耐え得る“逃げ切り内閣3弾ロケット”でありましょう。少なくとも7月21日解散・8月30日投開票の日取りで総選挙が実施される、と確定したのですから。
「総理・総裁分離論」を始めとして未だ未だ波乱要因が自民党の党内には、と“期待”する向きも居ますが、麻生丸なる泥船を1年前に圧倒的大差で自ら選択した多くの面々は最早、自分自身さえ再選されればと形振(なりふ)り構わぬ“ミーイズム”な状況下です。
その意味に於いては、首相として、国民に対して何を約束し何を実行するかよりも、1日でも長く首相の座に留まりたいと腐心していた人物と似た通ったかの心智なのです。“ミーイズム解散”、“敵前逃亡解散”と呼び得る所以(ゆえん)です。
閑話休題。自民、民主両党は、謂(い)わば百貨店。アパレル、食品を始めとする業界からの“ハケン”が数多く、各階の売り場で勤務しています。自民党に於いては各種経済団体関係議員、民主党のみならず他の野党も各種職能組合関係議員。
手前味噌ながら、不透明な企業献金・団体献金・労働貴族な組合献金の何(いず)れとも無縁な新党日本以外は、背後に控える大きな組織の都合に左右され、総論ご尤(もっと)も・各論腰砕けの繰り返しです。
西川善文氏の続投が決定した直後に、驚く勿(なか)れ、日本郵政グループ労働組合の委員長が全面支持を表明した一件は、全国津々浦々の地域や現場で真っ当に働き・学び・暮らす人々の希望に根差した政治や行政が如何に希薄であるか、その紛れも無き証左でしょう。
奇(く)しくも内閣支持率と同値に留まる加入率18%の労働組合が、官公労に象徴される“選ばれし働く者”の論理を振りかざす社会の構図。即ち「官僚統治」への拒絶感と、「組合統治」への違和感は表裏一体です。
ウルトラ無党派層の期待に応える政治の実現に向けた一人ひとりの選択が問われる今回の総選挙です。
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「医術は算術」にあらず
人間の体躯は、60兆余りもの細胞で構成されています。その全てが活動を停止する迄には数十時間を要します。長きに亘(わた)り、心臓死を以(もっ)て人間の臨終と看做(みな)してきたのは、その意味に於いて、理に叶っていたのです。
即ち、呼吸停止、心臓停止に伴って血液の循環が滞り、瞳孔も反応を示さず、徐々に体躯の温(ぬく)もりが無くなる中で、周囲の人々はその死を受け入れていくのです。
近時、脳死を以て人間の臨終と看做す論調が幅を利かせています。では逆に脳死論者は、如何(いか)なる瞬間を以て人間の生誕と看做すのでしょう。法律的には、母胎から分娩された日時です。然(さ)れど現実には、胎内に宿る24乃至(ないし)27週の段階で脳は機能し始めています。
脳機能の停止が臨終、との「脳死」理論を演繹(えんえき)すれば、脳機能の開始が生誕である筈です。にも拘(かかわ)らず、心臓死を臨終とする認識は前世紀的発想だ、と声を荒げる脳死論者も、生誕に関しては何故か黙して語らず。その深意を忖度(そんたく)するに、脳死論者の思惑とは極めてハコモノ公共事業的発想に基づくからです。
分娩を以て人間の生誕と規定すれば、胎内に宿る段階の胎児に対し、優生保護なる美名の下に、様々な人為的操作が合法的に可能となります。ES細胞(胚性幹細胞)の利活用研究も、そのベクトル上に存在します。
他方で、脳死を以て人間の臨終と規定すれば、心臓を始めとする臓器摘出の「円滑化」を齎(もたら)せるのです。脳死なれど心臓死には未だ至らぬ体躯では血液が循環し、臓器も「生きて」いるからです。正に、最初に手術=工事ありきハコモノ公共事業的ビジネス発想です。
確認し得るだけでも3名の天下り厚生労働官僚が役職者に名前を連ねる臓器移植ネットワークが好んで用いる“不謹慎な惹句(じゃっく)”を、警鐘を兼ねて敢(あ)えて用いれば、生誕の先送りと臨終の前倒しに繋がる脳死合法化こそが、移植に都合が良い「ピチピチした臓器」の摘出を可能とするのです。
他人の死を期待して延命するのが臓器移植です。換言すれば、延命の為に他人の死を前倒しするべく、心臓死から脳死へと「合意形成」を図ろうとするのが、今回のA案、A’案なのです。“医術は算術”との格言を、ふと想起しました。この問題、追って詳述しましょう。
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マンゴー知事よ、お主は聖徳太子か
そりゃ、まあ、「人生色々、選挙色々」ですから、当事者以外は観客を決め込むのも聡明な判断でありましょう。
とは言え、「国を変えようという大きな目標に対し、知事の権限は微々たるものだった。自分はその限界を超えようという事だ」と総裁「候補」の“意気込み”を大言壮語するマンゴー知事には、「笑っちゃう位に呆れちゃう」と感じた向きも少なくないのでは。
突如として衆議院議員を辞した後、暫(しば)しの自由人を経て、裕次郎の兄として東京都知事に就任した石原慎太郎氏が、「斯(か)くも面白い仕事は無い」と知事職に関して述懐したのは、本心です。
脱ダム宣言で利権議会から不信任を突き付けられ、脱記者クラブ宣言で談合マスメディアから目の敵にされ、更には給与削減に留まらず、退職金にも反映される調整額と呼ばれる不透明な手当の廃止で労働貴族な職員組合から、加えて同和予算の全廃で部落解放同盟から猛反発を喰らった僕とて、6年間の変則的在任中、石原氏と同様の感懐を抱き続けました。
知事の権限は、極めて強大なのです。人事・予算・条例の3権限を行使し得るのですから。人事も予算も法案も、霞ヶ関の官僚体制に操られる宰相や大臣よりも、遙かに劇的な変化を齎(もたら)す事が可能なのです。「う〜む。斯くも知事の権限が強大とは知らなかった」と守旧派県議会のドンが嘆息したのも、今や懐かしい想い出です。
早い話が、地鶏とマンゴー売りに留まり、財政再建も入札改革も、外郭団体や公共事業の見直しも、更には福祉・医療・教育の充実も、「知事の権限は微々たるものだった」から遅遅として進んでいないにも拘(かかわ)らず、「任期半ばの2年でマニフェストの達成率は8割」と豪語されると、お主は聖徳太子か、と改めて笑っちゃいます。
閑話休題。ライオンヘアの宰相経験者が都合4回も街頭応援演説を行った横須賀市長選挙で、労働貴族な自治労も支援した旧自治省出身の現職が敗退したのは、官僚政治・役人行政への拒絶感からです。
青息吐息な与党に留まらず、「西川善文氏の再任を全面支持する」と明後日な会見を行って失笑を買った日本郵政株式会社の労働組合とも友好関係を結ぶ野党も、5割を占めるウルトラ無党派層を掴み切れていない点に危機感を抱くべきなんですけどねぇ。
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住民不在なこの“痴呆痔恥”よ
250兆円も借金を増加させた「痴世」が、“なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ改革”の実態です。地方自治体と合わせて総計1000兆円に達する日本の借金の、その25%が僅か5年半で増加したのですから。
にも拘(かかわ)らず、斯(か)くの如き「痴世」を未だ、「構造改革」と信じて疑わぬ御目出度き人々が日本には存在します。その中身を問わず、その名称に騙(だま)されているのです。
「地方分権」「税源移譲」なる4文字熟語も近時、妖怪の如くに徘徊(はいかい)しています。が、冷静に捉えれば、全てを地方分権し、税源移譲したなら、その存在意義を中央政府は喪失するのです。
のみならず、税源移譲を受けて地方分権を担う首長や議員や職員の心智=メンタリティが未熟であったなら、中央集権が齎(もたら)した財政と環境と地域の破綻・破壊・疲弊は、改善されるどころか更に悪化する可能性大なのです。一例を示します。
嘗(かつ)て小中学校の図書購入費は補助金でした。優れた司書や教諭、父母の有無で、図書室の蔵書の充実度は左右されるとは言え、当該予算をハコモノ建設や公務員の諸手当へ転用する事は不可能でした。何故なら補助金は、使途限定だからです。
10年近く前、地方分権・税源移譲の美名の下に、補助金から交付税へと科目変更されました。結果、如何なる事態が発生したか? 全国の自治体が計上する小中学校の図書購入予算は、驚く勿(なか)れ、75%の自治体で補助金時代よりも減少したのです。
現在でも文部科学省と財務省は、生徒数・学級数・学校数に応じて各自治体毎に、図書購入費分の交付税を算定・交付しています。が、皮肉にも、使途限定の「ガラス張り」な補助金と異なり交付税は、使途自由な「磨(す)りガラス」なのです。結果、地域住民の与り知らぬ「転用」が横行するに至りました。
であればこそ、外交・防衛等に留まらず、中央政府の指導者は、目指すべき日本の社会の有り様を、明確に提示し、迅速に執行すべきなのです。野放図な権限移譲は、意識の低い首長や議員や職員の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)を許し、住民不在な“痴呆痔恥(ちほうじち)”を齎すのです。
然(さ)りとて悩ましいのは、信念と哲学、決断力と指導力を持ち合わせた宰相が絶えて出現せず、中央政府とて五十歩百歩な、痔恥も弁えぬ痴呆な輩で充ち満ちている惨状なのですが。
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いやはや、自爆テロ的オウンゴールよ
宰相・麻生太郎は今月下旬から7月上旬に衆議院を解散し、総選挙の投票日を7月26日、8月2日の何(いず)れかに設定する、と従前から僕は指摘し続けてきました。
が、実は、東京都議選とのダブル選挙で投票日を7月12日に設定するべく敢(あ)えて、海賊対処法案、国民年金法改正案、税制改正法案の3法案を今週金曜の19日に衆議院で再可決し、同日に解散を断行するのでは、との“見立て”も一昨日から浮上してきています。
いやはや、自爆テロ的“オウンゴール”を重ねてきた御仁の思考回路を推し量るのは、至難の業です。その意味では以下の発言も、一国の指導者が持ち合わせるべき最低限の“胆力”すら欠落した御仁の「迷言」に他なりません。
「全部内容を全部見せるのが果たして正しい事でしょうか。個人との間に出された手紙やら文書やらが、安易に外に出される方がおかしい」。
西川善文氏に替わる日本郵政株式会社の後継社長候補を複数名記した書簡を受け取った、と鳩山邦夫元総務大臣が「事実」を述べた一件です。
呵々(かか)。私事を連綿と書き綴った訳ではないのです。現段階では政府が株式を100%保有する、詰まりは主権者たる国民が大株主である企業の帰趨(きすう)、即ち公共の利益に関わる事柄なのです。
斯くも「公私」を理解し得ぬ御仁だから、「郵政事業は国民の財産」と述べた直後に、「政府が100%の株主であろうと、民間会社が決めた話に対して、政府が介入するのは慎重であるべき」と明後日な発言を重ねてしまうのでしょう。
が、この一件は大きく取り上げた“護送船団”記者クラブの面々は、何故か共同通信社を除いて、以下の驚愕すべき事実を報じていません。
「鳩山が社長人事の認可権限を盾に続投反対を公言し始めた5月以降、小泉は何度も麻生に電話を掛け、激しい口調で続投を求めた。『鳩山が何を言おうと俺は知らない。首相在任中、鳩山を閣内で使わなかったからな。だが、あんたは違う。俺が閣僚に(何度も)起用した。やるべき事は判っている筈(はず)だ』」。
いやはや、横須賀の任侠も顔負けな“恫喝”振りです。人事権も決裁権も有さぬ小泉純一郎なる御仁が帝王気取りで、宰相・麻生太郎に対する「院政」を敷いているのです。社長交代を切っ掛けに、魑魅魍魎(ちみもうりょう)たるパンドラの箱の中身が明かされたなら、忠臣・竹中平蔵と共に地獄の底に突き落とされる、との強迫観念からでしょうか?
が、兎にも角にも不可思議なのは、院政だの傀儡(かいらい)だのと野党第1党に対しては不謹慎な表現を多発する新聞やTVが、与党第1党に於ける明々白々な院政には口を噤(つぐ)むダブルスタンダード振りです。う〜む、奇っ怪ニッポンを刷新せねば、希望の未来は訪れません。
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嫌われてもお出掛けしちゃう”深意”とは
東京都議会議員選挙に於ける公認立候補予定者58人全員の事務所へ、自由民主党総裁として応援に駆け付ける、と大言壮語した宰相・麻生太郎氏は、問題山積の国政そっちのけで日曜日の7日以来3日連続、都内を東奔西走しています。
その来訪が果たして「効果」を生むのか否か、判断尽き兼ねずに当惑・困惑しているであろう各陣営を尻目に、初日午後には武蔵野市の吉祥寺駅前で早速、「今回の都議会議員選挙を見ても、これがスーパースターという都議が居る訳ではない」とマイナス効果の演説を敢行する始末。
が、嫌われてもお出掛けしちゃう「深意」を忖度(そんたく)するに、天皇・皇后両陛下がカナダ・ハワイ歴訪へと出発される7月3日に奇(く)しくも告示を迎える都議選直前に衆議院を解散し、総選挙の投票日を8月2日に設定する地位保全的“深謀遠慮”ではありますまいか?
公明党と共に現在は過半数を確保している都議会の自民党が、その勢力を選挙後も確保し得る保証は有りません。民主党が単独過半数を獲得する確率も低いにせよ、それなりの躍進が見込まれます。
今週末14日投票の千葉市長選挙とは些(いささ)か異なり、現時点では勝敗の帰趨(きすう)が読み切れない7月5日投票の静岡県知事選挙でも自民党推薦候補が憂き目を見る事態に陥れば、“麻生降ろし”が本格化する可能性大です。同月7日〜10日にイタリアで開催のサミットにお出掛けしている間に、“党内クーデター”が勃発しないとも限りません。
短期決戦が功を奏した民主党代表選に倣(なら)って、両陛下が帰国される17日迄の1週間で新総裁・新首相を選出し、解散総選挙に突入する。ニャンとしてでも自身の手で解散に打って出たい彼としては、斯(か)くなる筋書きを阻止するべく不退転の決意で、都議選立候補予定者全員の下へと敢(あ)えて“激励”に赴く戦術を採用したのでしょう。
その選択は皮肉にも、“敵に塩を送る”効果を齎(もたら)すのです。何故って四季折々、旬の食材を味わうのが日本の風物詩。民主党代表・鳩山由紀夫氏よりも後出しジャンケンで新たな自民党総裁が登場したなら、「初鰹」として御祝儀相場で善男善女が買い求めるやも知れぬのですから。
とは言え、直近の「調査」でも未(いま)だ「政権交代」なる「にっぽんイッシン!」の可能性は五分五分に留まります。稀代の連珠名人・小沢一郎氏が、“かちかち山の狸の泥船”に止(とど)めを刺すべく、如何(いか)なる一手ならぬ数手を最後に打つか、引き続き要注目です。
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「新しいケインズ・正しいハイエク」こそ
バラマキ「底力発揮」補正予算14.7兆円の、奇(く)しくも半分に当たる7.3兆円は建設国債。失われた10年の財政出動で、従来型ハコモノ公共事業は“快楽一瞬、後悔一生”な麻薬転落物語だと学んだ筈(はず)。「ワイズ・スペンディング」と強弁し続ける自由民主党は最早(もはや)、終わっています。
実は、内需の落ち込みは2.6%に達し、外需の落ち込み1.4%の倍近い深刻度。「新しいケインズ・正しいハイエク」の理念に基づく民需拡大こそ、内需回復への道。1981年以前の旧耐震基準で建設のマンションは全国に146万戸。阪神・淡路大震災規模の地震が首都圏で発生したなら、倒壊・半壊マンションの復旧費用は1.25兆円にも達します。現在は最大10%に留まる国・自治体の補助率を早急に嵩(かさ)上げし、建替促進すべきです。
橋梁や隧道の維持修繕を怠ったアメリカでは、落下や崩落の悲劇が相次ぎました。日本全国の橋梁数は15万強、隧道数は1万弱。然(しか)るに当初予算に於(お)ける道路維持管理費は僅(わず)か2500億円。而(しか)も道路清掃・街路樹剪定(せんてい)の人件費を含む金額です。
今こそ、全ての橋梁・隧道を緊急点検する予算を特出しすべき。同様に、河川の浚渫(しゅんせつ)は1?当たり1万円で施工可能です。知事時代、台風一過の秋口に補正予算を組んで、全ての県管理河川の浚渫を実施。これぞ青息吐息な地元の土木建設業への福音。ダム建設より遙かに確かな安心・安全を地域にも齎(もたら)します。
なのに、国土交通省を含めて、浚渫予算を特出ししている行政機関は皆無。不要無用なダムや道路を造り続けて財政・環境・地域を壊す公共事業から、治し始めて財政・安全・地域を創る公共事業へと大転換が急務。
更には自動車・白物家電の在庫一掃セールに他ならぬエコ“羊頭狗肉”ポイントよりも、市場価格3万円・出荷価格1万円台のミニ・ノート・パソコンを1人1台、国民全員に支給し、全国津々浦々に無線LANを構築。自分で考える日本人を育成した方が遙かにワイズ・スペンディング。
崩壊寸前な腐敗国家権力の“お貸し下げ欺瞞(ぎまん)情報”を垂れ流す、北朝鮮の翼賛メディアと今や五十歩百歩な、長い物に巻かれる「談合」記者クラブ加盟の新聞・TVの、報道ならぬ“呆道”に愛想を尽かす日本の良民常民が、真のメディア・リテラシーを会得する上でも、1人1台パソコン支給こそ、21世紀の「日本改造計画」なのです。
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「君、国家を死に至らしむるなかれ」
仮令(たとい)、宰相経験者の“豚児(とんじ)”とて、次期総選挙では公認も推薦も罷(まか)り成らぬ、無所属で闘って頂く、と神奈川県連会長にして党本部選挙対策副委員長の菅義偉氏は大言壮語しています。
正に片腹痛し。件(くだん)の候補者から党籍を剥奪するだの、党支部長の肩書を返上させるだの、更には一般党員が応援するのを禁止するだの、了見の狭い方針を“開かれた”自由民主党が打ち出す筈(はず)も無い、とも巧言令色(こうげんれいしょく)されているのですから。
今春、東京湾アクアラインで神奈川県と結ばれる千葉県に出現し、失笑・嘲笑を買った「完全無所属」なる羊頭狗肉な“偽呼称”の二番煎じが通用する、と高(たか)を括(くく)っているのでしょうか?
真理を見抜く良民常民は最早(もはや)存在せず、今や藁(わら)にも縋(すが)る愚民貧民で日出ずる国は満ち溢れているのか否や、我々の「民度」が試されています。
閑話休題。俺も♂だと豪語する知事の「英断」でETC搭載普通車の通行料金が一律800円に、と喧伝されるアクアライン。然(さ)れど、千葉県が負担する金額は、実質0円なのです。
想定予算は20億円。その半分は、14.7兆円に及ぶ今回の補正“第4弾ロケット”予算案に盛り込まれた「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」から総務省が。残り10億円は国土交通省が「社会実験」と称して負担。早い話が全額、国民の税金改め国民の借金で補填されるのです。民営化された高速道路会社の自助努力で実現する訳ではないのです。
而(しか)も、今夏の総選挙を経て次期参議院選挙が実施される2011年迄の2年限定措置。その魂胆は見え透いています。
「財政規律」論者であった筈の与謝野“1人3役”馨大臣は、僕が質問に立った先週21日の予算委員会で、今回の“大盤振る舞い”補正予算の策定過程には、各省庁からの概算要求書も、財務省の査定も一切存在せず、と改めて認めました。
「政治家の仕事は全人格と人生を賭けて、大きな判断をする事。その時々の流れに迎合する事ではない」と著書「堂々たる政治」で喝破し、「耳障りな事を言う。それが私の仕事である」と決意表明した筈の与謝野氏は、「財政破滅」論者へと転向されたのでしょう。
いやはや、「君、国家を死に至らしむる勿(なか)れ」。麻生太郎・古賀誠・菅義偉(敬称略)「3人組」が密かに画策する6月16日解散・7月14日公示・7月26日投票の総選挙前に日本が消滅しない事を願うや切、です。
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言わずもがなの「鳩山由紀夫」
民主党の新しい代表には、“3つの責務”が求められているのです。党内融和を図り、挙党態勢を再構築する「党の代表としての顔」。その上で、総選挙で与野党逆転の勝利を収め、「新しい日本の政権を運営する首相としての顔」。それを実現する上でも、野党共闘を組む社会民主党、国民新党、新党日本、更には新党大地との、より緊密な連携を結び得る「野党共闘の要としての顔」。
その何(いず)れにも相応(ふさわ)しいのは、言わずもがな、鳩山由紀夫氏でした。「駅前シャッター通り」に象徴される、行き過ぎた新自由主義経済からの脱却を求める他の野党との共闘無くして、政権交代は望めません。縦(よ)しんば、総選挙で民主党が単独過半数を得たとしても、参議院では他党との連携無くして過半数を制し得ないのですから。
加えて、通算4年に亘(わた)って幹事長として、「寄り合い所帯」とも揶揄(やゆ)され勝ちな民主党を纏(まと)め上げてきた経験が、彼を成長させたのです。取り分け、3月上旬から2ヶ月半の経験は、良い意味で彼を鍛えました。大勲位・中曽根康弘翁の言葉を借りれば、柔(やわ)なアイスクリームから芯の有るアイスキャンディへと成長したのです。
それは、自由民主党で国会対策委員長を務める大島理森氏が述懐した言葉からも明らかです。即ち、親・反の2元論を超えて、誰の意見にも先(ま)ずは耳を傾け、その上で悩みながらも判断を下してきた鳩山氏は大きくなった、との。
同時に、選挙担当の筆頭代表代行として小沢一郎氏を、幹事長として岡田克也氏を新たに選任し、菅直人、輿石東の両代表代行と合わせてペンタゴン体制を確立しました。秀逸な人事です。
8年前の知事時代に「『脱・記者クラブ』宣言」を発した僕としては、小沢代表時代に続いて鳩山新代表も、誰でも参加・質問可能な会見システムを継続しているのも痛快そのものです。
「政官財学報」と僕が呼ぶ、御用学者の学界と談合記者クラブの報界を加えた既得権益“同衾(どうきん)”護送船団が、形(なり)振り構わぬ抵抗を続けるのも宜(むべ)なる哉(かな)。価値紊乱(びんらん)者としての政治家・鳩山由紀夫に期待するや大です。
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「表紙」を差し替えるだけでいいのか
“オザワン”と密かに僕が呼ぶ小沢一郎氏は代表辞任会見で、渡部恒三氏に象徴される「選挙対策本部長に一意専心せよ」なる“親身の指導”を虚心坦懐に受け入れ、「新代表の下で挙党態勢を確立し」、「私もその挙党態勢の一員として、新代表を支え、総選挙必勝の為に、最前線で闘い続けたい」と言明しました。
詰まりは、反小沢一派を含む民主党の総意を汲んで、選挙の陣頭指揮を執る全権委任を取り付けたのです。民主党というチェスの盤上は一変。最早、“脱党・反党行為”は許されません。
一変したのは、永田町というチェスの盤上も、です。一度(ひとたび)、総額15兆円の選挙対策バラマキ補正予算が衆議院予算委員会を通過したなら、野党が参議院で如何に跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しようとも、宰相・麻生太郎は「3分の2」を武器に粛々と消化試合を熟(こな)し、解散権の自由裁量(フリーハンド)を弄(もてあそ)ぶ算段でした。
が、今回の一手で投票日は、公明党ならぬ自民党TOKYOを窮地に追い込む7月12日のダブル選挙、若(も)しくは追い込まれ選挙のイメージを払拭し切れぬ8月2日以降の選択肢に狭められたのです。加えて、僅(わず)か3割台の数値で糠(ぬか)喜びしていた政権与党は、仮に支持率が急落しようとも、「表紙」を差し替える“後出しジャンケン”を行い得なくなりました。
にも拘(かかわ)らず、親の心子知らずな民主党の若手KY軍団は、岡田“石部金吉”克也氏こそは、“先出しジャンケン”の「表紙」に相応(ふさわ)しい、とチェスの素人振りを露呈する始末。彼ならば手強(てごわ)い、と政権与党が“ノイズ”を敢(あ)えて発しているのは、元祖企業ぐるみ選挙にして、優良農地転用で郊外型大規模店舗を展開し、“なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ偽装改革”に負けず劣らず、「駅前シャッター通り」を津々浦々に出現させた一族のマイナスイメージ流布作戦を準備しているからに他なりません。
加えて、健全なる保守の安心感を醸し出す“小沢一郎・鳩山由紀夫コンビ”だったからこそ、日本社会を疲弊・混迷させる自民党に愛想を尽かした健全なる保守層は、民主党支持へと宗旨替えしていたのです。であればこそ、その2%を取り戻せば、行って来いで4%の勝利。新自由主義の香り漂う石部金吉が表紙の民主党を望む、それが老獪(ろうかい)自民党の深意なのです。
う〜む、願わくは、国民の生活よりも自分の面子(メンツ)が第一な、民主党内の反主流派勢力が、百戦錬磨な老獪自民党の思惑に気付かれん事を。
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フランスの真っ当な叡智に学べ
“食文化の殿堂”を自任するフランス共和国でも、全世界を席捲する「アメリカ型消費社会」には抗し切れず、大規模ショッピングセンターが出現し、ファストフードも幅を利かせています。
セントラルキッチンで製造・冷凍し、各店舗へと搬送後に解凍・加熱したパンを購入する消費者も急増しました。フランス語でブーランジュリと呼ばれるパン製造業者は、危機感を募らせます。
パン屋とは、豆腐屋と並んで世界屈指の早起きな、家内制手工業なのです。働き者の我々を見捨てるな、フランスの食文化を守れ、と全国で示威運動を繰り広げました。1990年代半ばの出来事です。而(しか)して1998年5月25日、「パン屋という呼称及びパン屋の標示」と題する第1篇第2章第1節第10款が「フランス消費法典」に書き加えられます。
「自分自身で選んだ原料を元に、生地を捏(こ)ね、発酵並びに型作り、更にはパンを焼き上げる迄の一連の作業を、実際に販売する店舗に併設した空間で確実に行う“真っ当”な職人のみが、ブーランジュリを名乗り、看板を掲げる事が許される」。斯(か)くなる規定です。
即ち、効率と利益のみを追い求めて、「モダン・タイムス」の歯車の如きセントラルキッチンで製造する業者は、「ブーランジュリなる名称も、パン屋の看板も、或いは、それに類した紛らわしい名称も用いる事が出来ない。縦(よ)しんば、その販売場所で製造された代物とて、一旦冷凍処理保存された製品は、パン屋の名称の下には販売出来ない。違反した者は2年の禁固及び3万7500ユーロ(479万円)の罰金に処す」。
その法律の存在を知った僕は、驚嘆しました。これぞ究極の“ゼロ予算”事業。「公益法人」とは名ばかりな天下り組織が出来る訳でも、不透明な補助金が動く訳でもなく、僅(わず)か数行の法令の文章が、真っ当に働き・学び・暮らす人々に勇気と希望を与える。これぞ正(まさ)に、言葉に拠(よ)って、人々を励まし、奮い立たせる「政治」のあるべき姿。
因(ちな)みに先週来、誇らしげに閣僚諸氏が襟元に付ける「緑の羽根」を牛耳る国土緑化推進機構なる天下り組織が、緑化事業に用いる予算は僅か5%。15兆円のバラマキ補正予算を無批判に報じる一方で、大きい政府・小さい政府の不毛な二元論から脱却し得ぬ護送船団「記者クラブ」に巣くう面々も、拳拳服膺(けんけんふくよう)すべきフランスの叡智です。
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昔の名前で出ている 代物ばかり
「片腹痛い」の一言に尽きるではありませんか。過去最大と"上から目線"で豪語する総額15兆4000億円、事業規模56兆8000億円の「追加経済対策」こそ、総選挙を間近に控えて形(なり)振り構わぬ政権与党の"バラマキ政事"に他なりません。農業再生や子供支援を始めとする日本一新を2年間で21兆円を投じて断行、と民主党が宣言した際に浴びせ掛けた罵詈(ばり)雑言を、早くも記憶喪失されたのでありましょうか?
"上から目線"な放漫経営者の執事役として、良薬は口に苦しと"財政規律"なる4文字熟語を繰り返していた筈(はず)の与謝野馨"1人3役"大臣も、失業率が4.4%と"みぞうゆう"な数値に達したのを「理由」に、財政出動論者へと宗旨替え。「放っておいたら7%を超えてしまう。これには日本社会が耐えられない」と弁明する始末。もしも〜し、貴方方が兄貴分と慕うアメリカ合衆国は既に8.5%にも達しているんですけど。
列挙された項目は、公共事業の地方負担分の9割を国が肩代わり。730億円を投じて整備新幹線5路線も前倒し建設、と"昔の名前で出ている"代物ばかり。自動車の買換需要。住宅の購入・増改築需要を誘発すべく、清水の舞台から飛び降りる覚悟の政治決断。なあんて自画自賛しているけど、これぞ正(まさ)しく富裕層向けの配慮。"上から目線"の証明に他なりません。
嗤(わら)ってしまうのは、「子育て応援特別手当」と銘打って、3〜5歳のみを対象に3万6000円の1回ポッキリ"給付金"に留まりません。妊婦健診の公費負担拡充も、今年・来年の2年度に限って実施するのです。早い話が、来年夏の参議院選挙迄に目出度く妊娠した方のみが対象って訳。いやぁ、"単細胞"内閣に相応(ふさわ)しき、実に判り易いポピュリズムですなぁ。
史上空前の30兆円もの赤字国債を発行する麻生太郎内閣率いる"奇っ怪ニッポン"は早い話が多重債務者。早晩、自己破産に追い込まれます。その返済を麻生コンツェルンの豚児が請け負う訳もなく、今この瞬間も真っ当に働き・学び・暮らしている全国津々浦々の善男善女に、消費税「増税」ブーメランとして戻ってくるのは必至。
いやはや、クレジットカードで宝飾品を買い漁って自己破産したお姉ちゃんの帳尻が回り回って、満員電車に揺られる勤労者諸氏の双肩に掛かって来るのと同じ不条理劇ではありませんか。
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オザワンVS. アソヤンのロールシャッハ現象
“オザワン”こと小沢一郎氏は民主党代表を辞すべき、との回答が依然として6割台。と鬼の首を取ったかの如く「記者クラブ」加盟各社は報じています。然(さ)れど冷静に眺むれば、“アソヤン”こと麻生太郎氏の現政権を認めない、との回答も、昨年末から長きに亘(わた)って6割台なのです。
謂(い)わば、受け取る側の心理で絵柄が、老婆にも少女にも見えてしまう“ロールシャッハ・テスト”状態。とするなら、代表辞任を前者に要求する社説を掲げた何処(どこ)ぞの新聞社は、後者にも内閣退陣を求めねば論理的整合を取れますまい。にも拘(かかわ)らず、「公正」とは対極の自家撞着(じかどうちゃく)振りには目を瞑(つぶ)った儘(まま)、内閣支持率は2割台に回復、なあんて強調する始末。
おいおい、1000万円を超える西松建設からの裏献金疑惑で東京地検特捜部に事情聴取された直後、20年来の側近が命を絶った元国家公安委員長の村井仁氏に県知事選で敗退する直前、一匹狼(マーベリック)な小生の支持率ですら4割台後半だったんですぜ。一体、如何(いか)なる客観性に基づき、支持率2割台を以(もっ)て首相信任と断ずる訳よ?
他方、1人1度の投票に限定の「Yahoo!みんなの政治」では、75%が“オザワン”続投支持。口角泡を飛ばして「辞任不可避」と繰り返す御仁が司会を務める「朝まで生テレビ」でも、64%が続投支持。「記者クラブ」発表の数字との彼我の違いは一体全体、なんなんざんしょ??
と疑問を呈したら、そりゃぁ、3時間に亘って検察批判を番組で繰り広げたんだから無理からぬ数字、と訳知り顔で「解説」下さったジャーナリストが居られました。
あのね、その論を演繹(えんえき)すれば、報道の大原則たる「裏取り」もせぬ儘、「関係者に拠(よ)ると」なる枕詞(まくらことば)を冠して、捜査当局の“垂れ流し”御用機関と堕した「記者クラブ」加盟各社の「大政翼賛」的貢献の成果が、冒頭に掲げた数値って訳ね。
いやはや、正(まさ)しく“ロールシャッハ”現象。御用学者の学界、御用報道の報界を加えて「政官財学報」の既得権益ペンタゴンと小生が定義する、「1940年体制」に集う面々の思惑とは裏腹に、個々人に立脚したインターネット社会は、従来の特捜捜査の際の「世論」とは異なり、権力側にとって情報制御不能(アンコントローラブル)な状況に陥り、故に“ムラ社会”で甘い汁を吸い続けてきた連中は焦燥に駆られているのです。
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「脱ダム」はいまだ夜明け前
「脱ダムは脱ムダ宣言」。"右肩上がりの幻想"と評すべき過去の成功体験に基づく認識と選択と仕組みを抜本的に改め、フェア(公正)・オープン(自由)・ロジカル(理に叶った)な社会を早急に再構築せねば、日本に未来は到来しません。
年度末の3月31日に金子一義国土交通大臣は、大戸川ダム建設計画「凍結」を発表しました。大阪・京都・滋賀・三重の4府県知事が「中止」を求めていたダムです。
「産経新聞」大阪本社から僕は見解を求められ、今朝の朝刊に以下の発言が掲載されました。
「実は『凍結』となったのは、国土交通省自身が設置した淀川水系流域委員会が建設中止を求めた4つのダム計画の中の僅か1つに過ぎない。『地方の反乱』を掲げる4府県知事の側も、残り3つのダム計画の事業継続を認め、総事業費の3割もの金額に及ぶ直轄負担金を国に支払う選択をした。単なるガス抜きに終わらない、望ましき治水の在り方への確かな一歩、とは言い切れない所が悩ましい」。
宮元博司氏は現在、本物の木の樽の復活を目指し、京都の町屋で樽徳商店を営む御年56歳。元々は旧建設省に入省し、近畿地方整備局河川部長、国土交通省河川局防災課長を務めた人物です。彼は退官後、河川法に基づき一般公募された淀川水系流域委員会委員に応募し、委員長に就任します。而(しか)して委員会は2003年、「新たな河川整備をめざして」と題する提言を纏(まと)め、「計画中・工事中のものを含め」「原則として建設しない」と「脱ダム」を宣言するのです。
看過し得ぬ数多(あまた)の副作用を伴うダム建設という外科手術を数十年に亘(わた)って待ち侘びる前に、隗(かい)より始めよ、日々の河川改修や森林整備といった東洋医学的な治療から始めるべき、と件(くだん)の提言は、漫然と造り続けて環境も財政も社会も壊すダム建設ありきな河川行政からの転換を迫った歴史的文書なのです。
にも拘(かかわ)らず、「脱ダム」という地動説へと踏み切れぬ国土交通省河川局は、4つの内の1つを「凍結」する事で問題先送りを図り、直轄負担金の不透明さを糾弾していた筈(はず)の4府県知事も、ムラ社会の「バランス感覚」とやらを発揮したのです。う〜む、日本の政治も行政も、"夜明け前"が続きますのぉ。
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「どなたとでもお話します」
「私は、政治も行政も経済社会も、日本はもっとオープンな社会にならなくてはいけない。ディスクロージャー、横文字を使えばそういう事ですが、それが大事だと思っております。これは自民党幹事長をしていた時以来、どなたとでもお話をしますという事を言ってきた覚えがございます。そしてまた、それ以降も、特に制限は全くしておりません。どなたでも会見にはおいで下さいと申し上げております」
上杉隆氏の質問「政権交代が実現したら、記者クラブを開放するか?」に対する、民主党代表・小沢一郎氏の返答です。
事実、24日夜の記者会見にもフリーランスの表現者が複数参加しています。「その数、日本列島に八百有余とも言われる『記者クラブ』は、和を以て尊しと成す金融機関すら"護送船団方式"との決別を余儀なくされた21世紀に至るも、連綿と幅を利かす」の一文で始まる「『脱・記者クラブ』宣言」を「『脱ダム』宣言」に続いて山国で発した往時を想起しました。
而(しこう)して、「どなたとでもお話をしますという事を言ってきた」の一節に触れた僕は、県会議員も市町村長も予約無しで自由にお越し下さい、と繰り返し申し上げていたにも拘(かかわ)らず、在任6年間に1度も「ガラス張り知事室」へと足を踏み入れなかった"選良"が過半だったのも追念しました。真っ当な市井の人々の願いとは異なり、「官治」なる官僚統治「1940年体制」と同衾(どうきん)し続ける政界・官界・財界・学会・報道の「政官財学報」既得権益ムラ社会の構成員にとっては、"フェアでオープンでロジカルな社会"が現実に到来しては都合が悪いのです。「それでも『小沢』に期待する」と題し、畏兄・江藤淳氏は「諸君」1993年1月号で「小沢一郎氏というのは不思議な政治家で、政策を実現するのが第一義。その為に自分が何時、総理になるかは二の次。政策の実現こそが、緊急の課題だとハッキリと打ち出している人間が出て来たという事は、戦後日本の政治史上、誠に驚くべき事だと言わざるを得ない」、と看破しました。
爾来16年、「変わらずに生き残る為には、自分自身が変わり続けねばならぬ」の警句を未だ体得し得ぬ視野狭窄(きょうさく)な面々に限って、政治家小沢一郎を過度に畏怖し、誤解し続けているのです。彼こそが、経世済民の日本を実現し得る"政策の人"であるにも拘らず。
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共通一次世代のガダルカナル的突入
その後に「大学入学者選抜大学入試センター試験」なる長尺な名称へと変更される「大学共通一次試験」が日本で導入されたのは、丁度30年前の1979年。初回に受験した高校3年生は今年48歳となります。
フランスのバカロレアを目指す、と当初は囁かれました。が、御存知の如く、似ても似つかぬ単純矮小化した思考を助長するマークシート方式。1808年にナポレオン・ボナパルトが提唱したバカロレアとの、彼我(ひが)の違いは明白です。
哲学者のリュック・フェリーが国民教育大臣を務めていた数年前に出題された設問を紹介しましょう。「@対話は真理への道か?
A全面的自由という観念に果たして意味は有るか? B自己を意識する事は、自分に対しても他者となり得る事か? 以上3項の中から1項を選んで自身の論考を記述せよ」。
弁証法的思考、即(すなわ)ち、言葉を如何(いか)に尽くしても100%の理解など有り得ないからこそ、考える葦(あし)たる人間は思索し、行動するのだ。斯(か)くなる認識を持ち合わせている人物かどうかを問い掛ける設問と言えましょう。
閑話休題。元特捜検事の畏友・郷原信郎氏が、「『ガダルカナル』化する特捜捜査 『大本営発表』に惑わされてはならない」と題して、今や“共通一次世代“が主力を占める東京地方検察庁特捜部の迷走を「日経ビジネスオンライン」上で、「捜査は当初から想定された展開ではない」と看破しています。
15日付「産経新聞」も第1面右肩で改めて報ずるが如く、「『脱ダム宣言』で中止になった浅川ダムの工事計画の復活を見込んだヤミ献金が長野県の村井仁知事側に渡った疑い」で事情聴取されていた知事側近の自害が、“共通一次世代“に周章狼狽(しゅうしょうろうばい)を齎(もたら)したのです。
やったね、これで第1問目の得点をゲット、と年度末の人事異動を控えて、一罰百戒の成就に糠喜びするや、液晶画面上から設問が消え去り、脳髄が真っ白になった面々は、果たして、他の設問が何処に記されているかも判らぬ儘(まま)、闇雲に突入したが故に、少なからぬ市井の面々が憂慮する「ガダルカナル」状況に陥っているのかも知れません。
歴代の「特捜不敗神話」なるレーゾンデートル=自己存在意義を、果たして継承・保持し得るか、マニュアル型思考行動で育った“共通一次世代“の「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)」は正念場を迎えています。
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この「胆力」の違いは何なのか
宜(むべ)なる哉(かな)とは言え、その発言を活字で眺めると、改めて「胆力」の違い、を痛感します。
「私の政治家としての生涯かけての大目標は、ひとつは官僚主導の政治行政を国民主導の、国民の側に立った政治行政に改めると。それがひとつ。それからもうひとつは、日本に真の議会制民主主義を早く定着させなければいけないと。このふたつを実現するには、政権を代える以外ない。それが私の政治家としての生涯の大目標であり、夢であり、使命である。私個人うんぬんの問題ではない。その大いなる目標を達成したい。何としても実現したい」。
大勲位・中曽根康弘翁を以(もっ)て、「小沢君は成長した。幅が広くなり、自分の考えをピチッと持っている。凄味も出て来た」と言わしめた政治家・小沢一郎の、10日午後の会見に於ける発言です。
翻って、御名御璽を頂戴した現在の宰相に対しては、「少しガッチリした日本の歴史や文化や伝統の深みを学ばねば」と苦言を呈しています。
とまれ、政治家・小沢一郎は、会見の中で以下の発言も行っています。「世界的な激変が予想される今日の中で、1日も早く議会制民主主義を日本の社会に定着させる。その為には総選挙で勝利を得なければなりません。私の今後の行動の基準は、飽く迄もその点に於いて、物差しをそこに於いて判断したいと。そう思っております」と。
如何(いか)なる組織に於いても、人事と予算がマネジメントの要諦です。にも拘(かかわ)らず、日本の政治行政では人事も予算も、匿名性に護られた官僚役人が牛耳り続けてきました。選挙で選ばれた筈(はず)の政治家は、その舞台の上で、予(あらかじ)め振り付けられた演技を繰り広げていたに過ぎません。
そんな甘ちゃんな政事屋では、「国民の側に立った政治行政」は望むべくもありません。当然の帰結です。が、信念と行動力を持ち合わせた「胆力」の政治家は、問題先送りな島国ニッポンのムラ社会を差配し続けてきた官僚役人機構にとって、危険極まりなき存在に他ならぬのです。
その筋立ての収拾が付かなくなった凡百の連載小説は、登場人物を「排除」したなら、取り敢えずの表層的大団円を装う事も可能でしょう。然(さ)れど、現実の政治社会に於ける「排除」は、「議会制民主主義」と対極に位置する、永久に政権交代無き国家の選択へと繋(つな)がる可能性が大、やも知れません。
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天に唾する如き この発言
「『国家権力が常に正しい訳ではない』と不快感を露(あら)わにした」。先月27日に共同通信が報じた“天に唾(つば)する”が如き発言の主は、村井仁・長野県知事。言わずと知れた西松建設からの「献金」を巡って、東京地方検察庁特捜部から参考人として複数回に亘(わた)って事情聴取を受けた直後、「20年来の側近」は何故か首吊り自殺に及びました。
第一次小泉純一郎内閣で国家公安委員長を務めた人物の“高言振り”を忖度(そんたく)すれば、「自身の在任中に限っては『常に正しかった』」という認識なのでしょう。
然(さ)れど、「西松建設『長野県知事陣営に資金』関係者供述」なる見出しを冠して先月26日付の日本経済新聞は、「同社の関係者が東京地検特捜部の調べに対し『村井仁・長野県知事陣営に知事に当選する前、裏金から資金を提供した』との趣旨の話をしている事が25日、関係者の話で分かった」と報じています。
「西松建設側から知事周辺に渡った一千万円以上が裏金に使われたと見て捜査、側近は長野市内で自殺した」と共同通信も配信しています。田中康夫3選を阻止するべく、長野県出身の飯島勲秘書官が“陣頭指揮”した2006年夏の知事選挙を想起しました。
にも拘(かかわ)らず、時事通信や産経新聞、中日新聞に拠(よ)れば、「お金の事で後ろ指をさされる様な事は絶対にしない」「政治家として、私ぐらい綺麗にやってきた人間はそんなに沢山居るか、との自負が有る」「信じ難い嫌疑を受けた」「国家権力が常に正しい訳ではない」と元国家公安委員長は悲憤慷慨(ひふんこうがい)するのです。
ならば、その国家権力を、更には報道機関の記事を引用した田中康夫を名誉毀損で告発されるのも、一考に値するのではありますまいか?
「裏金という性質上、授受が有っても(政治資金収支報告書に)記録されない可能性は高く、潔白の証明には至っていない」のですから。
小沢一郎代表の公設秘書逮捕から一夜明けて毎日新聞は、「与野党の国会議員や自治体首長に献金しており、特捜部は自民党議員の会計責任者についても、立件を視野に捜査を進める」と報じています。“一罰百戒”に留(とど)まらぬ複数罰を実績で示し得るか、年度末の人事異動を控えて、“秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)”の気概の程が注視されています。
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耳を疑うお坊ちゃまのトンデモ歴史認識
事象に因(よ)っては国家間で、歴史見解が異なる場合も有ます。が、少なくとも第二次世界大戦に関しては、「文部科学省検定済教科書の、何(いず)れの出版社の発行書に於いても、1939年9月1日ドイツがポーランドに侵攻し、これに対しイギリス・フランスが宣戦布告して第二次世界大戦が始まった、旨の記述で統一されている」のです。
が、驚く勿(なか)れ、『麻生内閣メールマガジン』が配信する「麻生総理へのインタビュー動画のコーナー『太郎ちゃんねる』」第10回では、「1941年12月に第二次世界大戦が真珠湾攻撃で始まる」と断定的口調でトンデモ歴史認識を披瀝(ひれき)しているではありませんか。
無論、発言者は「御名御璽を頂き、第92代内閣総理大臣に就任致し」た御仁。而(しか)も、編集実務を担当する内閣官房内閣広報室は、同発言と一言一句違(たが)わぬ字幕を付しているのです。いやはや、このボスにして、この部下ありって訳ね? 驚倒(きょうとう)した僕は、以下の質問主意書を提出しました。
「百歩ならず二百歩譲って、『(仮に生起していた第二次世界大戦の新たな拡大局面である)太平洋戦争が1941年12月に真珠湾攻撃で始まる』の限定的意味合いであるとしても猶(なお)、件(くだん)の発言は『言葉足らず』『舌足らず』『口が滑った』といった類の弁明では、日本国内のみならず国際社会に於いても到底、承諾され得ぬ、凡(およ)そ日本国の宰相としての智性を疑われる、極めて恥ずべき行為に他ならず、その重大性に鑑(かんが)み、国権の最高機関と日本国憲法で位置付けられる国会の場に於いて麻生太郎首相は、自身の歴史認識の誤謬に関する謝罪と訂正をすべきと考えるが、政府の覚悟を問う」。
が、「政府:麻生間違い発言『訂正しません』答弁書閣議決定」と見出しを冠して今朝の「毎日新聞」も囲み記事を掲載している様に、「お尋ねの『現内閣を代表する公的見解』の意味するところが必ずしも明らかでない事から、お答えする事は困難である」と木で鼻を括(くく)るが如き答弁書が昨日、内閣総理大臣臨時代理の河村建夫官房長官名で届きました。
人間、至らなさは改むるに如(し)くは無し。にも拘(かかわ)らず、歴史認識も解散時期も居直りを決め込むラヴリーなお坊ちゃまの“馬耳東風”内閣。質問と回答、トンデモ映像は新党日本HPで閲覧・視聴可能です。
新党日本HP http://www.love-nippon.com/
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赤ワインをゴックンしたでしょ!
“労働貴族”と揶揄(やゆ)され勝ちな地方公務員とて今日日(きょうび)、酒酔い運転ならぬ酒気帯び運転が発覚したなら即、解雇処分を受ける御時世です。中川昭一なる御仁は、大臣辞任に留まらず議員辞職すべきではありますまいか。
にも拘(かかわ)らず、「未(ま)だ未だやる事が有るので(議員辞職は)考えていない」と居座りを決め込む御仁は厚顔無恥にも、「閣僚という立場から離れても、私なりに違う形で麻生内閣を支えていきたい」と決意表明する始末。う〜む、宰相・麻生太郎が宣(のたま)う「とてつもない日本」改め「とんでもない日本」を全世界の善男善女に訴求し続ける“ビジット・ジャパン”特命全権大使にでも就任したら、お似合いかも。
とまれ、「口は付けたがゴックンはしていない」と子供が嘘を吐(つ)くかの如き、低レベルな強弁を繰り返した彼は、昨日(17日)3回目の会見に於いても、「土曜日(14日)の(会見での)出来事は、(飲酒と)直接は関係ない」と嘘八百な女々しい言い訳に終始しています。最早、ジェンダーとしての♂を返上した方が賢明かも知れません。
実は“北海のヒグマの豚児(とんじ)”は、G7出席各国財務相・中央銀行総裁との昼食会を途中退席し、宿泊先のホテルに戻るや、館内のレストランで財務省の玉木林太郎国際局長、2名の大臣秘書官、更には何(いず)れも女性の全国紙経済部、在京TV局報道部、アメリカ系通信社東京支局の3記者と赤ワインを片手にイタリア料理を愉しんでいるのです。
「中川財務相G7昼食会抜け出し、同行記者とワイン」と題して今朝の「毎日新聞」も、「昨年9月の財務相就任以降、G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行う事が恒例化」。「今回のG7でも、中川氏と麻布高校の同期で、東大法学部の同窓でもある玉木局長が一部の女性記者を招いた」と「ローマの休日」を慨嘆。
件(くだん)の合コン局長も処分は不可避。な筈(はず)ですが、若(も)しや、誤読が相次ぐ豚児を貶(おとし)め、財務・金融・経済財政の1人3役を与謝野馨氏に振り付けた方が好都合な霞ヶ関ムラ社会が仕込んだ“ハニートラップ”だったりして。同席者が日頃から与謝野大臣を絶讃する同一資本系列の新聞・TVの女性記者だった事とも相俟(あいま)って、う〜む、永田町ムラ社会の謀略史観論者に格好の酒飲み話を、冬眠から醒めたヒグマの豚児は提供しています。いやはや。
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ベーシック・インカム構想に着目
ベーシック・インカムとは何ぞや? 「基本所得のある社会へ」と副題を冠したゲッツ・W・ヴェルナーの著作に拠(よ)れば、「生活に最低限必要な所得を全ての個人に無条件で支給」し、「『万人の真の自由』と生存権を保証」する構想です。具体的に説明を加えます。
乳幼児から高齢者に至る迄、1人月額5万円、年間60万円支給するとします。所得税率は一律30%とします。所得200万円の4人家族は、(60万円×4)+200万円−(200万円×30%)=380万円が可処分所得。所得1000万円の2人家族は、(60万円×2)+1000万円−(1000万円×30%)=820万円の可処分所得。荒唐無稽(こうとうむけい)な構想ではありません。
経済学者・小沢修司氏の解説を援用すれば、洋の東西を問わず、戦後福祉国家なり社会保障制度が前提としていた「労働」と「家族」の形態が様々に変容しています。雇用の不安定化と非正規化が進行すると同時に、「男性稼ぎ手モデル」の専業主婦型家族が「標準家族」とは最早(もはや)、規定し得ない社会状況です。
実は、ベーシック・インカム構想は、大きな政府論とは対極に位置します。支給に伴い、「現行の社会保障給付(保険、手当、扶助)の内の現金給付部分(年金、生活保護、失業保険等)が廃止され」、「個人所得税制に於ける所得控除は不要になり、税制と社会保障制度の統合が実現」し、「社会保険料の徴収や記録に関わっていた『役所』や経費も不要となり、福祉給付で不可欠であった選別主義的な資力調査に用いられる行政経費も不要」となります。
即ち、社会保険庁に留(とど)まらず、自治体の福祉事務所も不要となります。脱・福祉切り捨てと脱・行政の肥大化を同時に実現し得るのです。更には内閣支持率同様、今や加入率18%と形骸化した労働組合も、良い意味で溶解へと向かいます。
経営の観点に立っても、月額20万円の給与を支給する為に、企業も社会も総額30万円のコストを投じているとしたなら、無条件に20万円を所得保障した方が、個人に立脚した中福祉・低負担の効率的な社会を実現し得るのです。これぞ正に、正しいハイエク・新しいケインズへの実践的パラダイム・チェンジだと僕は考えます。
参考資料
ベーシック・インカムの概念図
ベーシック・インカムの家計イメージ
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クロヨン体質の温存そのものだ
御存知の如く、未だに「消費税」を「導入」していない数少なき「先進国」が日本です。売上1000万円以下の事業者には"益税"として、消費税分の非納税が認められているのですから。
"九六四(クロヨン)"なる符丁が物語る「給与所得者は9割方も捕捉される一方、自営業者は6割前後、農業者に至っては4割程度に過ぎぬ」不条理を解消すべく、入口(収入)か出口(支出)の何(いず)れかで捕捉する以外に術無(すべな)し、との公理に基づき導入されたのが「消費税」。
この原点に立ち返れば"益税"こそ新たな不公平。にも拘(かかわ)らず、斯(か)くなる零細業者こそ我が党の貴重なる集票基盤として認識しているのか、自由民主党のみならず日本共産党も黙して語らず。逆に消費税納税事務の煩雑さから小規模事業者を解放する為の免税措置、などと居直る始末です。
他国とは異なり、仕入値・売値等を記す「インボイス」制度の未整備なのも不可解。その日本語訳すら未だに存在しない現実こそ"九六四"体質の温存そのものです。我々にも確定申告の権利を付与せよ、と今こそ給与所得者は蜂起すべきなのです。
日本国内で生産した製品を輸出後、原材料を購入時に支払った消費税分が還付される、輸出企業に対する「輸出戻し税」も、多少なりとも冷静に捉えたなら奇っ怪そのものです。件(くだん)の制度を導入せねば、日本企業は生産拠点を海外移転して、日本経済は空洞化していた、などと竹中平蔵的心智(オツム)の御仁は"したり顔"で宣(のたま)いますが、これぞ、国境無き新自由主義経済の申し子を標榜していた自分自身に唾(つば)するが如き噴飯発言です。
閑話休題。「真の消費税」導入先進国のイギリスでは、基本的な生活に関わる食料品や子供の衣料等には消費税を課していません。皮革バッグ、宝飾品等には奢侈(しゃし)税として高率を課す一方で、特定品目には低減税率を設ける。こうした提案も行われぬ儘(まま)、更には農林水産省の事業を厚生労働省が、自治体に於いても商工部の業務を土木部が行う訳もない、詰まりは独占随意契約に胡坐(あぐら)をかく行政組織の無駄も省かぬ儘、消費税率の数値のみを議論する、相も変らぬ奇っ怪ニッポン。次週は、その不条理を打破する為の近時、話題な「ベーシック・インカム」制度を紹介します。
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拍手パチパチな国際貢献を
パラダイムシフト、即ち、これまで当たり前の常識として認識されていた旧態依然たる固定観念からの脱却。最近のはやり言葉で申し上げれば、あらゆる分野、局面に於(お)いて、パラダイムチェンジを行わねば、混迷する日本の復権は覚束無(おぼつかな)いのです。
それは、ソマリア沖の"海賊"と称する集団への対処に於いても、例外ではありません。竹田いさみ獨協大学教授が「フォーサイト」誌で看破するが如く、高速艇とGPS(衛生利用測位システム)、自動小銃を駆使して、500kmも沖合の海上でタンカーや貨物船を襲撃し、僅(わず)か1年間で110億円もの身代金を収奪する集団が、内戦で仕事を失った「漁民」の筈(はず)もないのです。
氏族対立の激化と共に1991年から中央政府が存在しない無政府状態が続くソマリアは、インド洋からスエズ運河への回廊に面した「アフリカの角」。アフガニスタン・パキスタンからアラビア半島・アフリカ大陸を経て欧米へと至る麻薬と武器の密輸ルートの中継地点がソマリア。そこで暗躍する国際犯罪プロ集団と認識すべきです。
国家対国家の軍隊の戦争は早晩、勝ち負けが確定します。が、貧富や宗教が絡み合うテロリストは、インフルエンザ・ヴィールスの如くに変幻自在な無法集団。世界第2位の国連分担金を律儀にも支払い続ける日本は、であればこそ、国連主導でソマリアを先(ま)ずは暫定統治し、軍事鎮圧ならぬ治安維持の警察的使命で、当該地域の富の偏在を変えぬ限り、"海賊"問題も終結し得ず、と主張すべきです。その上で、陸海空の自衛隊に留(とど)まらず、海上保安庁、消防庁、警察庁等の既存組織を帰納法的にインテグレートし、地震・津波等の天変地異、内戦や飢餓等に直面する地域での救助活動や医療支援、住宅再建へ駆け付ける、富国強兵とは対局の「国際救助隊」を21世紀版「サンダーバード」として日本が創設してこそ、世界の警察を自任し続けた何処(どこ)ぞの夜郎自大な国家とは異なる、「世界の医療団」「ペシャワール会」にも連なる、拍手喝采(かっさい)な相貌の見える国際貢献ではありませんか。とまれ、日本以外の他国船籍が被害に遭遇した場合を始め、全ての判断は現場任せの丸投げでは、心ある自衛官は浮かばれません。無為無策で事勿(ことなか)れな日本の政治と外交こそ、パラダイムチェンジが急務です。
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ハコモノ行政しか知らない“喪・無能省”
“なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ”コンビの掲げた「構造改革」は羊頭狗肉。と重々承知している筈(はず)の善男善女も、税源移譲だの一般財源化だのと、「地方分権」の御旗の下、未(いま)だに唱和される惹句(じゃっく)に、甘い幻想を抱き続けています。
が、小中学校の図書購入費は、補助金から交付税へと一般財源化された途端、7割以上もの全国の自治体で実は、その予算が減少しているのです。文部科学省と財務省が交付税に組み入れている金額は、従前と変わらないにも拘(かかわ)らず。
図書購入以外に転用不可の補助金と異なり、交付税は人件費にも建設費にも充当可能だからです。即ち一般財源化とは、地域住民の願望と乖離(かいり)した首長や議員、更には職員にとって、お手盛り給与とハコモノ行政の温存を合法化して貰える有り難き「改革」なのです。
その“胴元”を務めるのが、地方分権ならぬ中央集権の心智(しんち)を抱く総務省。日本経済新聞の記事を引用すれば、「今まで45%しか起債で賄えなかった」「道路整備の為に自治体が出す地方債の制度を見直」し、「今後は90%まで充当出来る」との方針を発表したのです。
「道路特定財源の一般財源化を踏まえ、地方の道路事業に地方債で借りた資金を幅広く使えるように制度を見直す」と尤(もっと)もらしい口上(こうじょう)を述べていますが、早い話、守旧派の首長と議員以外は誰も望まぬ県道、市町村道、農道の新規着工にお墨付きを与える愚策です。
総務省改め喪・無能省は、前科者です。1990年に60兆円だった都道府県・市区町村の借金が、2005年には210兆円と僅(わず)か15年で3倍以上にも膨れ上がったのは、地総債と呼ばれる地域総合整備事業債を旧自治省が創設したからです。
往時、彼らは以下の甘言(かんげん)を弄(ろう)しました。従来型公共事業から脱却し、地域住民のニーズに応える文化施設を計画する意欲溢れる自治体を応援します、と。結果、豪壮なホールや空疎な美術館が全国津々浦々に林立し、今や維持費で四苦八苦しているのです。
その舌の根も乾かぬ内に、国土交通省も脱帽するモラルハザード起債を掲げる喪・無能省。そんなに自治体を借金シャブ漬けにしたいなら、将来、償還不可能となった場合には、起債した首長と議員に住民が弁済請求可能とする条文を明記すべきではありますまいか。
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労組よ、今こそピンチをチャンスに転じよ
「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」と題する11頁に及ぶ長尺のインタヴューが「文藝春秋」に掲載されたのは、1999年10月。発言者は当時、トヨタ自動車と日本経済団体連合会の会長を務めていた奥田碩氏です。
「無責任なエコノミストや経済評論家に惑わされるな。日本の強みを生かした改革で、必ず経済は甦る」と副題も冠した奥田碩氏は、以下の如(ごと)く悲憤慷慨(ひふんこうがい)します。
「長期雇用を守る事がどうして直ちに経営の評価を下げる事に繋(つな)がるのか、私には到底理解出来ません。長期雇用はスキルの蓄積という面でも、ロイヤリティ(忠誠心)の確保という点でも、大きなメリットが有る事は間違いない」と。
爾来(じらい)、10年近い歳月が過ぎました。共同通信社の調査に拠(よ)れば、「日本を代表する大手製造業16社(キヤノン、シャープ、ソニー、東芝、パナソニック、日立製作所、富士通、リコー、NEC、いすゞ自動車、スズキ、デンソー、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ)で、利益から配当金等を引いた2008年9月末の内部留保合計額が、景気回復前の02年3月期末から倍増し、空前の約33兆6000億円に達した」一方、「08年4月以降に判明した16社の人員削減合計数は約4万人に上り、リストラは今後も加速する見通し」。「厚生労働省に拠ると今春迄に職を失う非正規労働者は8万5000人」です。
それ故にか、“小さい政府論”から宗旨替えした「無責任なエコノミストや経済評論家」に加えて、新党日本を除く野党も労働組合も、「セーフティネットを政府が構築すべし」、と“大きい政府論”唱和する始末。
が、資本・経営・労働3者の「三位一体」協働社会を夢想する僕は逆に、「解雇に反対しなかった労働組合も資金をカンパすべし」と共同通信に特別寄稿した鎌田“自動車絶望工場”慧氏の卓見に敬服するのです。
「政党や労組は都心に大きな会館を持っている。その講堂を開放出来る筈(はず)だ。総評会館や日教組、自治労等が分担し、非正規労働者の宿舎と炊事を引き受ければいい」。
う〜む、奇しくも宰相麻生太郎の支持率と同等の加入率18%に留まり、慎みを知らぬ連中に“労働貴族”と揶揄(やゆ)され勝ちな労働組合が、ピンチをチャンスに転じ、組織ならぬ個人を護(まも)る集団へと昇華する日本を希求するや切、です。
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