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表 題
掲載日
安倍首相の所信表明演説への7つの疑問
2006.09.30
通常国会の異常な閉会
2006.06.18
行政改革5法案について
2006.04.20
憲法改正以外の重要問題も国民投票の対象とせよ
2006.03.30
国民投票制度について委員会で発言
2006.03.24
18年度予算に反対
2006.03.03
衆議院予算分科会で質問
2006.03.03
集配郵便局集約で行政代行サービス廃止の危機
2006.02.22
国会議員の互助年金制度の改正に異議あり
2006.02.08
平成17年度補正予算と国会議員の年金制度改正について
2006.02.02
国の財政再建のためすり替えられた三位一体改革
2006.01.19
 
 

安倍首相の所信表明演説への7つの疑問

  安倍首相は9月29日に所信表明を行い、週明けの10月2日から、首相に対する各党の代表質問が始まる。それに先立ち、疑問に思うことの概要を列挙してみた。

1 基本姿勢で官邸機能の抜本的強化を表明しているが官房長官時代の姿勢から見ると隠密政治を宣言しているに等しく、首相でありながら省庁という組織を使いこなせないことを表明していることになる。危険であるうえ、官庁組織のうえに屋上屋を重ねるもので、無駄なことだ。

2 経済社会の構築のためイノベーションの力とオープンな姿勢で経済成長を図るという。人口が減少してもイノベーションで経済成長が可能なことは経済学の教科書に書いてある。問題はどの程度の資本投入が出来るのか、それによりどの程度の成長が見込めるのかということであって、国民に訴えるには、その見通しを示すべきだ。
 オープンな姿勢で経済成長というが、ライブドアや村上ファンドの出現を助けるだけであり、また、外資が日本で収益をむさぼるのを助けるだけではないかなどの疑問にがある。


3 財政再建を取り上げ、「成長なくして財政再建なし」と言っていることには安心した。しかし、その成長はイノベーション、オープン、再チャレンジというだけで裏づけに基づく訴えがなく、言葉だけに終わっている。
 地方分権も位置づけを明らかにしないままに地方交付税で「頑張る地方応援プログラム」をスタートさせるという。こういうことを国政の重要政策に考えることは分権ではない。


4 少子化対策として言葉は「子育てフレンドリーな社会」の構築と言う表現に改めているが内容が不明だ。子育ての経費を社会全体が負担をするのか、するとすればどの程度すうのかを国民に訴えることが首相就任の所信表明には必要だ。

5 教育改革は教育基本法の改正から始めようというのは方向が違うのではないか。基本法の改正によって、国民の望むような教育がどの程度実現するのか全く不明だ。 学級崩壊、学力低下、受験戦争などの教育の課題に応えられるのかが疑問ではないか。

6 集団的自衛権の行使が安全保障の前面に出ているのに、なぜこの検討が必要なのか国民に訴えることから始めるべきだ。
集団自衛権は現行憲法でも許されているが憲法の運用上禁止していると解釈されている。このような重大なことがこのように内閣の解釈に任されるならば、憲法の改正は何なのかについて国民の合意なしに国民投票を成立させることは問題ではないのか。


7 安倍首相の所信で重要なことが抜けている。それは、個人の所得の格差はもとより、地域の衰退がその住民の所得の激減になるのみならず、医療や介護のサービスを受けられないことにつながっており、こういう情勢を放置できない。特に医療・介護の過疎と呼ばれている事情は国の政策により加速されている。これを所信表明にあるような外国企業の誘致などの「頑張る地方応援プログラム」で解決できるものではない。こういう他人まかせのことで、どうして日本の伝統を守り美しい国が望めるのか疑問だ。

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通常国会の異常な閉会 
  新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実


小泉内閣の改革の総仕上げとした国会であったが、改革が国民を裏切るものであることを証明する結果になった。建築確認の民間委託は無責任さを明らかにし、年金では徴収率が改善していることを偽装するため滞納者を納付義務者でないことにするなど国が大切な制度を破壊した罪は大きい。これに対して内閣が責任を取らず個人の問題にすり替え、国内の行き詰まりから国民の目をそらし自民党の事情もあるために国会を閉会して小泉首相は外遊するというのは納得できない。

 小泉内閣の総仕上げという触れ込みで国会に出された重要法案は、行政改革推進法案、教育基本法改正案、医療改革法案である。このうち行政改革推進法案と教育基本法改正案は内容がなく、腰くだけになってしまった。ただし、滝 実が求めた指名競争入札の原則廃止に向かって制度を転換しつつあるのは評価したい。

 注目すべきは医療改革法案だ。与党はこれを最重要法案と位置づけ参議院での採決をまって通常国会を閉会とした。この法案は個人負担の増加に関心を集めているが、地方の医療と介護を破壊するという大きな問題がある。滝 実は決算行政監視委員会でこのことを指摘し、柔軟な対応を求めた。今後も継続して監視すべき問題だ。

 この国会の閉会に際し衆議院で異常な事態が起きた。6月16日の本会議で国会閉会中の審査手続の議決に続いて議長は通常国会の閉会を宣言するのが慣例であるのに、それができず、単に本会議の散会を宣言したのに留まった。与党は閉会を急いだものの法務委員会と厚生労働委員会は委員会を終了していないので国会の閉会儀式はできなかったのだ。法務委員会の議題はそれほどのものではないが、厚生労働委員会のほうは重大だ。


厚生労働委員会は何を問題にしているかといえば、社会保険庁の努力により年金の徴収率が上がっているかのように工作していたことが明るみに出た。当初はほんの数県だけとのことであったが今や全国的に行われたことが分かった。それでも社会保険庁は組織的に違法行為を指示していないと言い張っている。しかも手口が悪質だ。年度末の3月分だけ納付を免除してこの結果徴収率が上がったように見せかけ、翌月には元に戻すというものだ。与党が圧倒的に多数を占めていることを利用して、違法なことが露見しても国会が口出しできないようにするという政府与党の姿勢が最後まで貫かれている。これが重要法案が残っているのに国会を延長せずに閉会を急いだ理由だ。

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行政改革5法案について
 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 本日、内閣提出の行政改革5法案が衆議院を通過した。新党日本は行政改革の基本となる「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」に反対し、民主党提出の行政改革法案に賛成した。その理由は、民主党の法案は、行政改革の前提として国、都道府県、市町村が重複して仕事をしている構造を改め、国の仕事を国でなければできないものに限定し、出来る限り地方公共団体に仕事を移すという観点から改革を進めようとするものだからである。
 民主党案は3年間で20%の国家公務員の削減を予定しており、内閣案が5年間で5%の削減の予定と較べてみると実現不可能との批判がある。これは国の仕事を地方公共団体へ移すことを前提にしているからである。
 もちろん、民主党案は理想に走り過ぎてはいるが、定年退職者が大量に出るこれから数年の間でなければ大改革はできないことを考慮して賛成した。
 なお、民主党案には官製談合防止に関する規定を設けているのも内閣案との違いである。 

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憲法改正以外の重要問題も国民投票の対象とせよ
 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 平成18年3月30日の衆議院憲法特別委員会で前回の基調発言を補足して国民投票の対象に憲法改正以外の重要問題を加えることを主張した。昨年の郵政民営化法案が参議院で否決されたのであるから、議会制民主主義をとる政府はそれに従うのが憲政の常道だ。しかし首相は国民投票的選挙で直接国民の意見を聞いてみたいと宣言して衆議院を解散した。従って、国民投票法を立案しようとするならば、その中に重要問題について国民投票により国民の意見を聞く制度を織り込むのは当然だ。
  昨年末に憲法調査会としてヨーロッパを訪れた際に、憲法改正以外の事項について国民投票を行うのは議会制民主主義の立場から問題だとの意見があることを聞き及んできた。そこで現在検討している国民投票法案からは外そうとの考えが出ている。しかし、話は逆であろう。国会の議決を無視して国会を解散するくらいであれば、国民投票の制度を用意しておいて、そのルールに従うこととしておくのが議会制民主主義というものだ。
  この点で参考になるのがオランダの制度だ。オランダの憲法改正は国民投票によらず、下院と上院で憲法改正案が可決されると下院を解散し、選挙後の下院と上院で3分の2の議決で改正が確定する。間違えてはいけないのは改正のための選挙も下院と上院とで改正案が可決されてからという点だ。国会で否決されたから選挙を行うのでは議会制民主主義を採用している国ではないことを日本は国際的に宣言しているようなものだ。
  オランダに関してはもう1つ重要なことがある。8年前に憲法改正以外の重要法案について国民投票を行うという憲法改正案が提案され、原案が下院と上院で可決されて下院の選挙も行われた。選挙後の下院で3分の2で可決されたものの上院では否決されてしまった事件がある。否決の理由は国民投票により法律案が否決されるようでは議会制民主主義を否定することになるからというものであった。その4年後に憲法改正が行われ、国民投票は決定権をもたず諮問的な効果に留めることで決着した。
 日本でも、このようなオランダの国民投票制度を導入しておくべきだというのが新党日本の滝実が憲法調査特別委員会で主張したことである。

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【国民投票制度について委員会で発言】
 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 3月23日に国民投票制度について基調発言を国民新党・日本・無所属の会を代表し衆議院憲法特別委員会で行ったので、概要を報告する。
  国民投票に反対する2つの意見があるので、この意見を例に基本的な考えを明らかにしておきたい。1つは、自民党は憲法9条を含む全文改正を発表しているから国民投票法を制定すべきではないという意見であるが、そのような意見に賛成することはできない。

  もともと憲法改正を旗印に自民党が成立したといわれているが、現在の自民党を支持する人たちがこのことを認識しているとは思えないし、自民党が発表した憲法の全文改正案を支持するとは限らないであろう。また、9条改正といっても、現在の自衛隊の実態を憲法に位置づけるもの、国連の平和維持軍への参加を認めるもの、さらには集団的自衛権の行使を認めるものまで相当の幅がある。したがって、発表した改正案にこだわることはいかがかと思う。

  大事なことは自民党の改正案に対してどういう危険があるのかについて国民の理解を求めることにあるはずだ。そうであればなおさら現在議論している国民投票制度を通じて啓発運動を展開するほうがわかり易いのではないか。

  もう1つは、国民の多くは憲法改正を望んでいないので、国民投票法を制定する必要がないとの意見がある。しかしそうであればなおさら、憲法改正をするか、しないか国民に確認すべきではないか。その際に改正する場合はどういう事項を改正するのかについて判断を求め、それにしたがって国会で改正案作りを進めるという2段階方式も考えられるのではないか。

いずれにしても国民投票のテーマは、国会で決める問題であって、憲法9条に限らないし、現行憲法の条文に拘束されるものではない。例えば、都道府県の制度を道州制に改めることは、憲法改正のテーマとして考えるべき問題だ。

なお、自民党が憲法以外の一般諮問的問題を国民投票法の対象から外すことは筋が通らない。郵政民営化法案について政府与党は国民投票的衆議院選挙を行うと宣言したのであるから、自民党のほうから一般諮問的国民投票制度を提案すべきだ。
 
  このような基本的立場を明らかにした上で、10月6日に中山委員長がこの委員会で検討すべき事項として示した8項目についての考えを明らかにしておきたい。

1. 投票権者の範囲は、公職選挙権の資格範囲とすべきである。民主党からは、18歳まで下げること、公民権停止者も対象にすべきとの提案があるが賛成できない。

2. 賛否を問う方式は、一括投票か個別投票かであるが、個別を原則とすべきだ。

3. 周知期間や広報方法であるが、60日から180日という公明党の提案に賛成する。
手続きは、民主党の提案に従い、国会に国民投票委員会を設け、投票期日、運動期    
   間、賛成・反対の広報資料を作成すべきだ。

4. 国民投票運動の規制は原則として制約なしとする。この場合、公務員や投票管理にたずさわる者は規制するとの考えが大勢であろうが、公職選挙より緩やかにすべきで、規制もいきなり罰則ではなく、サッカーのイエローカード方式によるべきだ。 マスコミも原則として制約なしとすべきだが、このうち新聞は賛成・反対を明確にし、テレビは賛成・反対を公平に取り上げるべきだ。そのために、国民投票委員会のもとに監視委員会を置き、過度に不公平なことには是正勧告をすることを考えるべきだ。

5. 投票用紙への記載は賛成・反対の○・×でいいが、回答なしも有効投票にすることでどうか。
 
6. 投票結果は、有効投票の過半数で決めることでいい。

7. 国政選挙と国民投票とは同一に実施すべきではない。ただし、地方選挙とは重なる場合があることを考慮しておく必要がある。

8. 選挙訴訟については発言していない。


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【18年度予算に反対】

 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 3月2日、衆議院本会議での18年度予算の採決にあたり新党日本を含め新党グループは反対した。それは次のような理由による。
1、 財政再建のための増税が目白押しであるが特別会計の整理もすすんでいないのに増税が先行するのはおかしい。新年度の財政融資特別会計から国債整理特別会計への繰り入れが27兆円も増額されているように、融資した資金を各年度でどれだけ返済させるかの計画を明らかにされていない。
2、 それなのに長期国債の償還が大変だという声だけが一人歩きしている。しかも長期債務の普通国債が542兆円あるというが、償還期間を30年とすれば粗い数字だが毎年の償還は18兆円だ。財政融資以外の特別会計が保有する資産もある。これらをどのように活用していくのか、各年度の償還計画とどう組み合わせていくのかが不透明な段階で増税に踏み切るのは問題だ。
3、 本来、定率減税を廃止してもいいのではないかというのは国民年金への国の負担率を引き上げる財源にするならばという状況の中で出てきたはずだ。それがいつの間にかうやむやのうちに廃止が一人歩きしてしまった。したがって、国民年金の負担率引き上げには改めて増税を検討するようになるのは目に見えている。とうてい賛成しがたい。
4、 新年度予算ではたばこ税も増税になるし、年金課税の強化も実施され、高齢者医療負担も増える。その一方で国の予算も地方の予算も圧縮されており、国をあげて再びデフレに向かっているのは大問題だ。
5、 三位一体の財政改革に名を借りた地方切捨てが目立つ。地方の一般財源を昨年並みとしているが、大半の団体は昨年を大きく下回る状況のようだ。特に地方交付税の落ち込みが激しいようだ。国の財政再建の犠牲に地方が苦しむような姿勢を認めてはいけない。

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【衆議院予算分科会で質問】

 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 滝 実は2月28日と3月1日にライブドア事件に関連する制裁問題、貸し金業者のグレイゾーン利息問題、保険業法改正に伴う根拠法のない共済事業の取り扱い、地方財政の三位一体改革などについて衆議院予算分科会で質問しました。

(ライブドア事件に関連する制裁問題)
 ライブドア・グループは子会社の利益を親会社に付け替えるという粉飾決算をしたり、風説を流布したりして自己株式を高値で売って莫大な利益をあげて事業を拡大してきたとの疑いにより刑事告発がされていると報道されている。
 これが事実であれば証券取引法違反として刑事制裁が科される。滝 実は「犯罪行為により得た財産は没収する」と定めている証券取引法198条の2の条文を予算分科会で問題にした。この条文は、風説を流布して株価をつりあげておいて株を高値で売り抜ける者に対して、儲けた利益だけではなく売却収入全体を没収するという原則を定めている。元本が没収されずに手元に残れば痛くも痒くもなく犯罪行為を防げないからだ。泥棒が家屋侵入するのに使ったドライバーなどがあれば、同じものを再び犯罪に使われないように没収するのと同じ理屈にしているのだ。
 ところが刑事裁判の実際では、売却収入全体ではなく、儲けた利益に相当する部分しか没収していない。せっかく没収の範囲を広げる条文にしているのに趣旨が裁判官に伝わっていない。ということは、もう少し厳密に表現しておく必要があるのではないかということを指摘したわけだ。これに対して金融庁は再発防止を強化するように法案化を急ぎたいと答弁した。

(貸し金業者のグレーゾーン利息問題)
 利息制限法により利息は最高で15から20%に定められている。他方、刑事罰の対象となるのは出資法で29,2%を超える利息としているので、利息制限法の利息を超え、出資法の制限利息までのグレーゾーンをそのままにしておくと争いの種になる。そのため昭和58年に貸し金業法を作り、借り手の自由意志でグレーゾーンの利息を承諾した場合には契約を有効とすることにし、しかもその要件として約定書を借り手に発行すること、返済したら領収書を発行することなども法律で規定した。
 しかし最近の最高裁判決では、法律上の要件の上に司法判断でさらに要件を付け加える
ようになった。金融庁はこの事態をみてグレーゾーン利息を無効とするような動きをしているとの報道があるので、そうではなく最高裁判決のいうようにグレーゾーン利息を認める要件を細かく条文化すべきではないかと指摘した。

(根拠法のない共済の取り扱い)
 オレンジ共済というでたらめな共済が社会問題化したこともあって、保険業法の改正により根拠法のない共済を原則として認めないようになる。医師や歯科医師を対象としているもの、障害者を対象としているものが問題となっているので、実情を把握して対応するよう要望した。

(預金金利の引き上げ)
 金融緩和をめぐり、日銀は解消したいといい、政府はまだ早いという綱引きが行われてきた。最近になって政府も日銀の判断を了解するものの金利の引き上げをしないようにとの申し入れをするとの報道がある。これを国民からみると全く理解できない。
 低金利政策がとられて10年になり、働き盛りの中高年は老後の見通しの立たない状況だ。それを見越して外貨建て預金や外国証券を取り入れた投資フアウンドの売り込みが盛んになっている。これを放置すれば国内向けの投資資金が減り、日本経済の首を絞めるようになる。貯蓄率の高かった日本も既に貯蓄率が急減している。
 そこで与謝野経済金融大臣に金利の正常化に取り組んでもらいたいと要望した。これに対して金利の引き上げは消費拡大を促す重要課題と認識しており全力を尽くしたいとの答弁があった。

(三位一体の地方財政改革)
 国の長期債務残高は542兆円、地方のそれは204兆円という総額の数字で国の財政破綻は大変だが、地方はそれほどでもないという財務省の宣伝に総務省は同情しているのではないか。国債の返済年限は30年で計算しているのに、地方債は10年だ。それで見通すと国債の返済は毎年18兆円、地方債は20兆円で、毎年の返済の重みは同じであり、地方の財政再建の財源を確保すべきことを指摘した。
 18年度の国の予算では地方の一般財源を昨年並みとして編成されているが、中規模以下の県は昨年を下回り、長野県で70億円、奈良県で30億円ほど減っている。一般財源は東京、愛知、大阪に集中しているのであって、地方財政対策で一般財源昨年並みといっても大半の地方団体では大きく下回っている。とくに交付税の切り込みは3兆円くらいになる。今回はどうしようもないが、今後の財源確保に配慮する必要を指摘した。

(義務教育費国庫負担金問題)
 三位一体の改革の焦点である義務教育費の国庫負担率を1/2から1/3に引き下げることについて、2月28日の衆議院本会議で、小坂文科相はこれで確定といい、竹中総務相は今後も引き続き検討していくと答弁した。この違いについて竹中総務相に念を押したところ、三位一体の観点から今後も継続して検討すべきと考えているとのことであった。
 三位一体の財政改革は地方の自立性を拡大させる目的を掲げているのに、国の関与を残したまま国庫負担率を引き下げて負担を地方に押し付ける結果になっていることは許しがたい問題だ。

(耐震強度偽装事件に対する公的支援問題)
 耐震強度偽装事件の被害者救済は民事の瑕疵担保責任の問題だ。したがって、建築主の責任を棚上げして公的支援をするならば、阪神淡路大震災にまで遡って支援する覚悟が必要であるし、地方団体はその他の多くの事例に対応しなければならなくなる。総務省は関係省として協議を受けるに際し十分に検討すべきことを指摘した。


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【集配郵便局集約で行政代行サービス廃止の危機】
 
 新党日本幹事長 参議院議員荒井広幸


 日本郵政公社は来年10月の民営化までに、郵便物を集めて配達する「集配郵便局」を大幅に減らす合理化方針を決めた。全国2万4600局の郵便局のうち、集配業務をしない特定局や簡易郵便局などを除く集配郵便局は4,700局だが、それを集約し、約1,000局を窓口業務だけを行う無集配局にするという。郵政公社では集配業務を広域化することで効率化を進めるとしている。

(問題は行政サービス代行業務)
郵政公社では「業務の拠点を集約するだけで窓口を減らすわけでなく、利用者へのサービスの低下はない」と言って来たが、過疎地の住民などからは、やっぱり「いずれ赤字の郵便局を廃止する布石だろう」と警戒する声も出ている。郵便局の窓口サービスが今後どうなるかは現時点では未知数だが、民営化を進めたドイツやニュージーランドをみても局数は半分以下に減っている事実を見逃してはならない。確実に言えることは、過疎地域などで集配業務に付加的に行っている住民サービスは影響を受けるということだ。
  実は高齢化が行き着くところまでいった過疎地では地域社会の崩壊が進む中で、郵便局員が行う“行政サービス”が大きな比重を占めるようになっている。こうした地域では市町村合併で行政サービスが行き届かなくなり、それを補完する形で郵便局の職員が集配業務の合間に、身近な行政サービスを肩代わりするケースが増えている。例えば、集配の途中で一人暮らしのお年寄りが元気にしているか声をかけて回るとか、産業廃棄物の不法投棄の通報、そして児童の登下校の見守り等だ。多くの場合は市町村と郵便局が協定を結び、役場職員などの代わりに郵便局員が行っており、行政サービスの“まごころ代行”業務だ。
  こうした郵便局員の“仕事”は、住民からいくら喜ばれようとも、民営化された郵便会社にとっては、業務の効率性を損なうものでしかなくなる。また、都市部などの住民にとっては、民営化後の郵便事業の採算性を悪くさせ、郵便料金の値上げに繋がりかねないものとしかうつらず、このままでは「行政サービス代行業務」がいずれ取り止めになるのは確実だろう。
  しかし、もっとそのサービス範囲を広げることのほうが、真の郵政改革であると私達は主張してきた。

(“公”の郵政改革で行政代行業務の提供を)
こうした郵便局の行政サービス代行業務は社会的なコストの面から考えるべきではないか。過疎地では高齢化で地域社会が崩壊しつつある中で、合併で近くの町・村役場がなくなり、警察の駐在所の統廃合が進み、福祉や治安を守る窮余の策として出てきたのが行政サービスの代行なのだ。
  そこで郵便局側が“代行できない”となったら、どうなるか。役場の職員や警察官をそうした地域のために増員するには、膨大な費用がかかることになる。一方で郵便局側の“無償の協力”で今後も代行を続けてゆくのも現実的でないだろう。
日本の人口減少高齢社会が本格的に進むと、今の過疎地よりも大都市部の方がより影響が深刻になるとの予測も出ており、郵便局員の行政サービス代行業務は今後、都会でも有効になってくる。
私はすでに次のような具体例を示している。

郵便局員を活用して福祉を充実させた町
 郵政を活用する「国営民活」とはなにか。
 島根県金城町(安藤美文町長・当時)(現浜田市)は、住民票などを交付している二地区、二出張所のサービスを郵便局に委託することで、三人の職員と三千万の予算を「福祉」に振り向けることに成功した。
 長野県生坂村(寺島宗正村長)では、五一名の役場職員だけでは手が足りず、三地区の郵便局員が独居老人宅訪問や買い物サービスなどを協力して行っている。
 これらは郵便局を活用することで心がこもったサービスを住民に提供し、財政を安上がりにした例である。自治体と郵便局とが助け合うことで、豊かな住民生活をつくろうとしている。これこそ、痛みの伴わない本物の構造改革ではないだろうか。
 郵便局とその職員、全国ネットワークを国民共有の財産として、自治体や民間企業にも大胆に開放して使ってもらう。そうすることによって、真に心豊かで生き甲斐のあるコミュニティづくり、そしてその集合体としての幸せな日本づくりを目指したいと思っている。
 郵便局が全国ネットワークとして郵政三事業を一体となって果たしている有形無形の公共的、地域的有効性はこれからますます高まるはずである。これを破壊する民営化は国民経済的にみてもまったく愚かな選択である。
 私は、郵便局を単なる金融・物流としてとらえ議論する人々の心の貧しさを憐れむ。
  (日本の論点2003 文藝春秋より)


 
つまり、民営化という「私」では心を込めた行政サービス代行業務はなかなか提供できないので、「公」の存在として郵便局を再活用できるような「公」の郵政改革こそ求められるのである。

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【国会議員の互助年金制度の改正に異議あり】

 
新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 かねてから問題となっていた国会議員の互助年金制度改正法案が自民党と公明党の賛成で成立した。この法案は国政の重要問題ではないが、滝実は反対した。
 議員互助年金は退職金として検討され始め、当時の一般職公務員の退職金は恩給という年金の形をとっていたため、国会議員の退職金もそれに合わせて年金の形をとった。
  ところが検討している間に国家公務員のほうは退職手当法を作ってしまい、恩給は年金として存続することになった。この結果、国会議員互助年金を現在からみると退職金と年金とが一体となっているように思われる。
  そこで、国会議員互助年金額を国会議員が一般職公務員並みに受け取るものと仮定した年金と退職金との合計額とを比較してみる。在職年限が30年くらいになると国会議員互助年金のほうが一般職公務員並みの年金プラス退職金の合計額より少ないものの、在職20年前後では国会議員互助年金のほうが相当に多い。

(1) 問題は、
・60歳あるいは65歳になっても在職している限りは納付金を 納付し続け、 他の公的年金には積算期間の限度があるのにそれがない。
・他の公的年金には掛け金の基礎になる報酬は低く設定されているのに、国会議員互助年金は報酬の全額が納付金の基礎になり、年金支給額の基礎にもなる。
例えば、国会議員の報酬月額は130万円の場合
  基礎月額は130万円で、納付金率  約 7・7%
  一般職公務員報酬月額130万円の場合
  基礎月額は 62万円で、掛け金率  約14・0%
これに対して年金支給額の算定基礎月額は
  国会議員    130万円(退職時の報酬月額)
  一般職公務員 62万円以下(在職期間平均標準) 
・これは、国会議員と一般職公務員とで年金の掛け金率はそれほど差がないのに国会議員互助年金支給額は倍以上高いことを示している。

(2) このようなことにより、国会議員互助年金は高いとの批判を浴びることになった。
 これは国会議員互助年金が退職金として発足したのに、他の年金と同じ種類のものとして比較されてしまうからだ。
 そこで、今回、国会議員互助年金法を廃止することになった。しかし、実態は存続だ。10年以上在職している議員とすでに受給しているOB議員は依然として従来方式の年金を受けることになっているからだ。
  しかも、議員互助年金の財源の3割は現職議員の納付金であったのに、これからは全額が国費になるので始末が悪い。
  なぜ存続するのかというと、現在の受給者や受給資格のある議員には受給権があるので、これを奪うことは財産権の侵害になるからだという。これは考え違いだ。
  国会議員は一般の国民とは違い、国会で作った制度に責任がある。その制度が国民の批判に耐えられなくて廃止しようというならば、既得権にこだわるのはおかしいではないか。

(3)問題は、これで決着がついたわけではないことだ。退職金とは別に本来の年金への加入の問題があるはずだからだ。国会議員について既存の年金へ加入させるにせよ、新しい年金へ加入させるにせよ、なにがしかの積立金を用意しなければならないであろう。
  その場合には、これまでの議員互助年金の納付金分を移し替えることも想定できる。次の段階を考えずに、今回、国会議員互助年金法をいきなり廃止するのは、あまりにも乱暴で、国会がいかに場当たりのことに終始しているかを示してしまった。

(4)議員年金には地方議員の年金がある。こちらは、平成14年に支給額を切り下げ、負担を増やす改正をしている。この地方議員年金は国会議員互助年金とは、次の3つの点で違いがある。  
・年金額は国会議員互助年金の半分以下
・議員の掛け金が財源の6割に対し、公的負担は4割  
・掛け金と公的負担とで積立金をつくっている
 このようなことから、地方議員年金は直ちに廃止するようなことをせず、広い立場から検討を続けることになるようだ。その際には他の公的年金との調整について方向づけをすべきだ。


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【平成17年度補正予算と国会議員の年金制度改正について】
 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

1、 補正予算について
・ 国税の自然増収に見合っての補正予算の大筋については異存はない。
・ ただし、次の2点は賛成できない。
(1) 耐震強度偽装問題への対策費80億円の計上
(理由)建物は、まず建築主が設計業者と施工業者を監督する責任を負うのが原則で、誰に責任があるか明確になっていないのに公的支援を打ち出すのは不当である。
(2)16年度決算剰余金の全額を国債整理特会に繰り入れ(理由)国の借金の返済のために16年度の決算剰余金を充てるならば、地方の借金の減額にもあてるべきである。
・ 除拝雪対策に対する地方交付税については特に補正措置を講じていないが、十分な対応を要望する。
2、 国会議員の年金改正について
・ 与党提案の改正案が衆議院で可決されたが、現行の支給額をわずかばかり減額しようとするに過ぎず、改革の名に値しない。
・ 国家財政が破綻しようとしているのに、国会議員が一般の国民の年金と同様の考え方にたって既定の財産権を保障しようとすべきではない。 

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【国の財政再建のためすり替えられた三位一体改革】 新党日本総務会長 衆議院議員 滝 実

 三位一体の地方財政改革は地方への国の負担金・補助金、地方税、地方交付税の三つを一体として地方の自立性を高める方向で改革しようとするものである。このため、国の負担金・補助金を削減して地方税に振り替え、これにあわせて地方交付税も改革するのが本来目指した道だった。
 地方の自立性を高める方向で改革するのであるから、この改革により地方の一般財源は増えるものと想定されていたはずである。ところが、平成18年度の地方財政計画をみると、そうではなかった。
 予算折衝の過程で、地方の面倒を見る立場の総務省は地方側に5兆円を超える財源不足が生ずることを明らかにしていた。これに対し財務省は歳出を圧縮して財源不足額をゼロにすべきであると主張し、結果は前年度並みの一般財源を確保することで落着した。
 しかし、中身は地方への国の負担金・補助金を4兆円削減し、それに相当する額ではなく減額して3兆円だけ国の所得税を減らし地方の住民税に振り替えるというものだった。差し引き地方の財源が1兆円も減るのだ。それだけではない。国の所得税収入の32パーセントは、地方の一般財源として渡される地方交付税に算入されるが、所得税収入が3兆円減るのだから、その32%の約1兆円の地方交付税が減ってしまう。3年間だけ地方交付税にいくらかの加算措置はあるものの、それでも7000億円は穴があく。これらを合わせると地方の一般財源の目減りは約2兆円にもなる。
 この予算編成から明らかになったのは、三位一体改革のうたい文句とは裏腹に、地方の一般財源の充実などということは、はなから重視されていなかったということだ。
 以上は制度上の問題だが、財政運用上の問題がこれに加わる。いわゆる「2007年問題」である。公立学校の教職員もいわゆる団塊の世代が大量採用されているが、その人たちが2007年から10数年間、大量に退職する。ところが、公務員には民間企業の「退職手当引当金」のような予め積み立てておく制度がない。そこに今回の三位一体改革で義務教育費国庫負担金制度が無くなり、教職員の人件費が全て地方の負担になる結果、膨大な退職手当の支払いを国は免れ、地方が全てをかぶって負担することになる。地方財政にとっては踏んだり蹴ったりだ。
 以上のほか三位一体改革の問題点がまだある。やや難しい話になってしまうが、国から各自治体への地方交付税の額の算定方法だ。地方交付税は財政需要額から収入額を引いて計算し、普通、住民税は75%を収入額に参入するが、今回、所得税から住民税に移譲される3兆円に限り税収全額が算入される。財政の豊かな自治体と厳しい自治体との格差を減らすとの理由のようだが、おかしなことだ。その分、地方財政の自由度が狭まり、地方の自立性を高めるという改革の目的に逆行することになるからだ。
 こうしてみると一連の三位一体の改革は、ひたすら国の財政再建のために本来の目的がすり替えられているとしか言いようがない。しかも18年度の地方財政計画では地方の借金の残高は減らない。国の借金は日銀が保有できるし返済期限も60年であるから相当弾力性がある。しかし、地方には日銀に相当する機関は無いし返済期限も10年と短く、弾力性が無いので、財政再建は速やかに進めなければならない。
  新党日本代表の田中康夫が知事を務める長野県は、単年度収支(プライマリーバランス)を6年連続で黒字にし、この4年間で借金を547億円減らすことに成功しているが、どこの自治体でもできるわけではなく都道府県で長野だけだ。その長野県にしても今後も引き続き借金を縮少するのは至難のわざだ。そう考えると、地方の財政再建のための財源手当てが無いのが最大の問題でもある。


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