10/08/30 元気の出る日本再生を◆共同Weekly

“永田村の政局”よりも“日本丸の政策”を、と多くの国民は願っています。それも、即効性と持続性を併せ持った斬新且(か)つ大胆な経済施策を。
衆院で与党統一会派を組む新党日本と国民新党は、2011年度当初予算概算要求決定前に「二番底を防ぐ緊急処方箋(せん)」と「元気の出る日本再生提案書」を菅直人首相に提出しました。
全国全ての駅前半径500mの電線地中化、堤防補強の鋼矢板導入、隧道・橋梁の緊急点検・強度補強工事、木製ガードレールの導入促進、合併処理浄化槽で水洗化率100%達成、宅幼老所の設置・運営補助、コンビニなど24時間営業施設へ自動体外式除細動器(AED)設置、スモールサイエンス研究支援などなど、意欲的な事業が提案書に記されています。
詳細は新党日本ホームページで御覧頂くとして、意図する所は、地域密着型の確かな変化です。提出後の会見で僕は「多くの国民は日銀との話し合いを含めて、受け身、後手、後手ではないかと懸念している」と指摘しました。
「政権交代」後も大言壮語の空回りが続く中、人々は目に見える着実な変化を望んでいます。それはもはや、ダム建設に象徴される大型ハコモノ事業ではないのです。総事業費の7割を国が負担するものの、8割がゼネコンに支払われる「バキューム事業」では、利益は中央に還流し、地方は疲弊するだけ。
その対極的事業は、長野県知事時代に土木建設業や林業の事業者と共同開発した鋼鉄製と同じ強度認定を受けた信州型木製ガードレールでしょう。
建設時には村道とて事業費の65%を国が負担するのに対し、ガードレール設置費用は全額地元負担。鋼鉄製の製造企業は全国に僅(わず)か4社。何れも製鉄メーカー系列のため、地域への還元は設置にかかる人件費のみ。他方、国土の7割を占める森林の半分は針葉樹。この間伐から製造、設置まで全て地元が担当する木製ガードレールは、地域雇用が1キロ当たり5倍です。
が、学者や官僚に留(とど)まらず、本来は「元気の出る日本再生」の”夢”を語るべき政治家の中にも「財源はどうする」と縮み思考の発言をする向きが大半。
前回述べました公正・透明・簡素な「5つの税制改革」と併せ、「無利子非課税国債」の導入と「休眠口座の預貯金活用」も健全なる財源創出論です。
たんす預金・当座預金など150兆円もの利子が付かずに眠っている日本の預金の3分の1でも、無利子非課税国債で吸い上げたら相当な景気対策が可能、と読売新聞グループ本社の渡邉恒雄会長も以前から提唱しています。環境、福祉、教育、新産業などに使途目的を特化し、多額の購入者には褒章制度を活用するのです。
預金者が死亡し、存在を親族すら把握できずに、郵便貯金を含む金融機関の“不労所得”と化している「へそくり口座」=「休眠口座」の預貯金活用も画期的です。5年、10年の長期間、出し入れのない普通預金や当座預金の休眠口座を国に「寄付」し、それを元に社会施策を展開するのです。既にイギリスのデーヴィッド・キャメロン首相も、同様の「ビッグ・ソサエティー・バンク構想」を発表。斬新で大胆な発想と決断の覚悟が、日本の政治にも求められています。